日本酒の出前講座 東海浄青親睦会 2007年10月20日(火)
東海の地域の浄土宗の御住職さんらに頼まれました。東海地区を主とした親睦会が静岡の中島屋ホテルであり、宴の前にお酒の講座をしてほしいとの依頼。担当者さんからは3ヶ月前から打診を受けていましたから、この方と数十回に及ぶメールでのやりとりから、一番良いと思われる内容を決めて実行できました。人数は59名。時間は2時間でした。
きき酒は日本酒だけでなく、焼酎もやってもらいました。他の酒類として、スパークリングワインとビールと紹興酒も登場させて、その常識と非常識などを認識してもらいました。
お寺の御住職の方々にお話する。これほどの僭越なことはないでしょう。まずは本日の立場をお許しいただきました。
静岡市葵区の中島屋ホテルでの開催。
8つの地域ごとに分かれて座ってもらいました。
使用する酒類。
青い箱と黄色の箱には30本づつ入っています。
仏教の五戒は「不殺生」(ふせっしょう 殺すな) 、「不偸盗」(ふちゅうとう 盗むな) 、「不邪婬」(ふじゃいん 不倫をするな) 、「不妄語」(ふもうご 嘘をつくな)、 「不飲酒(ふいんしゅ 酒を飲むな)とある。
だから般若湯(はんにゃとう)という名でお酒を飲むのであるが、般若湯の意味は簡単に言えば「知恵の泉」。
人々は僧侶を尊敬して、同じような振る舞いをしていた。僧侶のように自制が利く者にとって、お酒の酔いはコントロールできるが、一般庶民はそうはいかない。したがって、僧侶は人々のためにお酒は慎むということではないかと私は思うと述べた。実際はどうでしょうかねえ。
講演は「お酒とは?」がテーマ。
日本酒が古くなっていきますと、香味が変化します。老ね香と言われる香りが、ある瞬間から熟成香となりますが、老ね香から熟成香に変わることを、仏教用語の解脱(げだつ)と言わせてもらっています。おそれながら、その説明をしました。
珍重な山廃純米大吟醸の14年古酒を味わってもらいました。
黄金色から山吹がかった、きれいに光る色をしています。いにしえを感ずる香りが部屋中に立ち込めました。
金額にすると2万円以上。このような古酒は献杯にでも使ってほしいと、御住職さんらには提案しました。みなさん納得した表情で試飲していました。
古酒と同時に飲用温度によって、変化する味わいを実感してもらうために、山廃純米酒を冷やと燗で提供しました。
このお酒には、カツオのなまり節やチーズがあいます。その相性体験も同時にしていただきました。カツオのなまり節は地元焼津の特産品です。他県の方にも知ってもらえました。
この講座の中には三つのゲームを入れました。
1. お酒の保存と瓶の色の関係。
1.と3.はテーブル単位での団体戦とし、2.は個人戦として競ってもらいました。
各グループには円卓がありますから、その上ですべてが行えるように準備しました。
上の写真からもその様子がよくわかると思います。
久しぶりに会われた方はお酒だけでなく、諸々の話をされていたようです。お酒が潤滑油代わりになったようで、私もうれしかったです。
きき酒の成績は過去最高。1/3以上が日本酒のきき当てには正解されました。
御住職さんらの普段の摂生が、このような好成績を生んだのでしょうか。私もびっくりな成績でした。ちなみに普段の生活については、突っ込みませんでした。
お酒とお料理の相性をみてもらいました。下のように16通りになります。今回は忠正の吟醸酒である「宴」、麦焼酎の代表として「つくしの黒」、白ワインと赤ワインはオーストラリアのジェイコブズクリークを使いました。
つまみは地元焼津の黒ハンペンをアレンジ。「生の黒はんぺん+しょうゆ+わさび」「煮込んだ黒はんぺん+辛子」「焼いた黒はんぺん+しょうゆ+唐辛子」「黒はんぺんのフライ+ウスターソース」の4つを使いました。これにより、生魚っぽいおつまみの調理の仕方によって、お酒の相性が楽しめることを実感してもらいました。
黒はんぺんが白ワインよりも赤ワインの方が相性がいい組合せもあり、勉強になったのではと思います。魚の生臭い食べ物は赤ワインにはあいませんが、一工夫することで、相性度は上がることが証明されました。
最後は記念写真を撮り無事終了。みなさんお疲れさまでした。御受講ありがとうございました。
日程表
15:00 スタート・挨拶・講座説明などオリエンテーション
15:05 アルコールパッチテスト
講演
「お酒とは?」「日本酒の造り方」「お酒の飲み方における世界の常識と日本の非常識」「日本酒の保存管理」(団体戦1.)
15:25 日本酒の商品特性
「純米酒の冷やと燗の飲み比べ」「古酒を味わう」+「カツオのなまり節」と「チーズ」
15:40 日本酒のきき酒(個人戦) マッチング
16:10 焼酎のきき酒(団体戦2.) 原料当て
16:30 お酒とお料理の相性研究
「忠正 宴」「つくし 黒」「ジェイコブズクリーク・シャルドネ」「ジェイコブズクリーク・カベルネ」
「生の黒はんぺん+しょうゆ+わさび」「煮込んだ黒はんぺん+辛子」「焼いた黒はんぺん+しょうゆ+唐辛子」「黒はんぺんのフライ+ウスターソース」
16:50 団体戦と個人戦の表彰
16:55 集合写真撮影
17:00 終了
費用 59名として計算しました。
・お酒代
スパークリングワイン(ジェイコブズクリーク) 750ml 1本 1,890円
刈穂山廃純米 1.8L 2本 5,228円
古酒 1.8L 1本 12,000円
きき酒 300ml 80本 21,938円
白ワイン(ジェイコブズクリーク・シャルドネ) 750ml 4本 5,040円
赤ワイン(ジェイコブズクリーク・カベルネ) 750ml 4本 5,520円
忠正 宴 1.8L 2本 10,500円
つくし 黒 1.8L 2本 4,400円
吉酎 黒 1.8L 1本 2,200円
川辺 1.8L 1本 2,560円
主 1.8L 1本 3,360円
・プラスティックコップ代 531個 5,310円
・講師料 59名×1,000円 59,000円
・合計 138,946円 お一人様 2,355円
・つまみ類は別途の御用意
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