普通の梅酒じゃつまらない。誰もやっていないような梅酒を作りたい。そんな型破りの梅酒の作り方もあります。型破りの赤い梅酒の作り方です。
-
■ 型破り 赤い梅酒の作り方その①
シソを使った赤い梅酒はあります。私の赤い梅酒は梅以外は使いません。私の想像ですが、このような赤い梅酒の起源は作ってできたというよりは、できちゃったという表現の方が適切かもしれません。
ある梅農家でのことです。形の揃った傷のない梅は売れました。出荷できました。ところが痛んでいたり、形のよくない梅は処分しなければなりません。処分しようと梅の実や切った枝をゴミ箱に入れました。数日後、ゴミ箱を開けるてみると、なんと中には赤い液体があるではありませんか。
実は梅の実や枝が入っていたゴミ箱に飲み残しのお酒を入れてしまったのです。このお酒に梅の実と枝が漬かっていたのです。どうして赤くなったのかと言いますと、梅の木の枝が原因です。梅の木の枝から赤い色素が溶け出したのでありました。
私の赤い梅酒もこの原理を使います。
【赤い梅酒の作り方】
-
梅の実と糖分と酒類と梅の枝を入れます。
左は南高梅200g、梅酒用日本酒360ml、氷砂糖100g、梅の枝200g。
梅の枝は200gになっていますが、これは梅の実と氷砂糖を入れて、梅酒用日本酒を入れた結果、梅の枝の入るスペースがこの量であったということです。梅の枝の量を少なくすれば色は薄くなり、多くすれば濃くなります。
梅の実は和歌山県産の南高梅の完熟を使いますが、これは少しでも赤系の色を出したいからであります。ピンク色の梅酒の原理を使っています。 -
一ヶ月後です。漬けてから2週間くらいしますと、浮いていた梅の枝がサラサラと順番に沈んでいきます。
液体と糖分を吸い、逆に色素などを液体に溶け込ました梅の枝は梅の実同様に要が済みますと沈みます。
液体全体に赤い色素が出ています。とてもきれいな色です。 -
梅の実と梅の枝を取り出します。これでも完成と言えます。
味の方はどうか?
木の味がして、美味しくありません。とにかくこの木の味はどうにかなってほしいと思いました。 -
仕込んでから1年くらいたちますと、色はここまで来ます。これで赤い梅酒は出来上がります。
木の味の取れてきて、梅酒らしい味わいになりました。
味わい的にはもう1年寝かしたいと思いました。【赤い梅酒を作る時の注意点】
- 梅の木の処理
梅の木の枝は皮がごわごわしていて、ささくれてもいます。木を瓶の中に入るように入れるために切るのも大変です。まわりのささくれている皮をできるだけ取りませんと、液体に混じり、飲む時にはゴミが入ったようで、とても飲みにくくなってしまいます。枝の前処理をしっかりしなければいけません。細かい木のチリを濾すのは用意ではないです。
それから枝には微生物がたくさんついています。これらの微生物がどのような影響を及ぼすかわかりません。瓶につける前に熱湯消毒をしてからにして下さい。ただし木の中まで熱くなるまではしない方がよろしいかと思います。熱により色素が崩れることもありますから。 - 味わいの点から、飲み頃を見極める。
私の造った赤い梅酒は梅酒用日本酒を使いました。このため、およそ一ヶ月ほどで梅酒が出来上がります。この時点で味見をしました。木の味がして、美味しくありません。とにかくこの木の味はどうにかなってほしいと思いました。
仕込んで1年くらいして、赤色が濃くなり、再度味見しました。梅の木の匂いはかなり減りました。そして梅酒らしい味わいになりました。しかしまだまだ美味しく飲めるレベルには達していません。さらに熟成をさせる必要があります。 - 成分から、飲み頃を見極める
梅の木にもしかしたら、微量なりにもエタノールがあるかもしれないと農業高校の先生から指摘がありました。あくまで微量でありますから、長い時間には蒸発してなくなると言われましたが、仕込んでから2年くらいは待った方がよいと思いました。
【梅酒が赤くなる理由】
梅の木を入れたからですが、梅の木には紫色をした色素を持っています。これが溶出して赤く変化したと考えられます。
丁度赤ワインと同じ要領です。赤ワインは搾った時点では赤くなくて紫色をしています。アントシアニンが赤色の元と考えられます。【赤い梅酒を作ろうと思ったきっかけ】
私は梅の実を高校の同級生の家から持ってきます。この家は農家であり、農家をまとめる中卸もしています。このような農産物に囲まれた環境ですと、家の中にも外にも農作物がごろごろしています。腐ってしまうのもあれば、まとめて放置されるものもあります。
梅も実とか枝とかいっしょにごろごろとしていますから、もし自分が農家だったらと考えました。
”面倒だから、梅の実も枝もいっしょに梅酒にしちゃおう”
これを小瓶で実験したのでありました。
色にこだわると、色きちがいと思われそうですが、実際はこんなところです。■ 型破り 赤い梅酒の作り方その②
赤い梅酒を作るというよりは、赤くなってしまうと言った方が正解でしょう。
もともと橙色と黄色の色具合の普通の梅酒でした。
なぜ、赤く変色したのか。
実は私のところには、味見して処分する梅酒が数十本ありました。
私は立場上、飲む梅酒以外に実験的に作る梅酒がたくさんあります。
多い年は40本以上漬けます。
これらはある期間を得て、味見へと移ります。
こうすることにより、梅酒のいろんなことがわかってくるからです。
今年味見して用がなくなった梅酒を整理していました。すべて片つけたと思っていたのですが、数本は1.8Lのお酒の箱の中にありました。
「あれあれ、こんなところにまだあったのか!」
と味見をしようかと思いましたら、色が赤くなっているではありませんか。そこにあったすべての梅酒が赤くなっていました。
農業高校の先生からも紫外線による着色によるものと言われました。
私の放置した場所は、屋外であって、日陰です。日向だったら、季節によっては、膨張などの危険があるかもしれません。
この赤い梅酒の味わいはどうか。
悪くありません。赤くなったからといって、美味しくなったわけでもありません。
酒類が日光などの紫外線の影響を受けますと、日光臭という特別な匂いがします。日本酒が顕著に現れ、ビールでも感じ取れます。梅酒の場合は、味わいの要素が多すぎて、日光臭はあったとしても、その他の要素にマスキングされて、わからないくjらいです。
偶然とは言え、赤く変化したことを発見し、子供のように喜びました。 - 梅の木の処理
-