梅酒を作る時に気になる1つに糖分量をどうするかということがあるかと思います。普通は梅1kgに対して氷砂糖1kgとか、いやいや500gが丁度いいとか言いますが、果たして何グラム入れれば梅酒になるのか。言い換えれば、最も辛口の梅酒の糖分はどのくらいなのか、になります。そこで実験してみました。
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《通常1瓶は梅1kgですが、その1/5サイズでやりました。》
各瓶に共通するのは糖分量以外。各瓶には梅200g、梅酒用日本酒360mlが入っていて、左の瓶から糖分量は20g、30g、40g、50g、60gにしました。梅1kg換算にしますと、それぞれ100g、150g、200g、300gとなります。
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《漬けた翌日の様子です。》
氷砂糖が溶け出したので、梅と液体との比重に変化がありました。60g入れた瓶の梅は浮いています。比重から十分な糖分があることがわかります。ここから日を追うごとに梅に浸透して、梅が沈むことでしょう。
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《漬けてから4日後の様子です。》
20g以外の30gから60gまでは浮いています。20gの瓶の今後の様子が気になります。
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《漬けてから25日後の様子です。》
全て色は出てきました。全ての梅の実は沈んでいます。全て梅酒になっているのか。この段階で味見はできます。ここで気になることが1点あります。20gの瓶の梅は結局浮くことはありませんでした。梅の実の様子も色の変化はあるものの、その他には変化が見当たりません。梅から液体に出ているエキス分は極少量と考えられます。30gの梅は浮いて沈みました。そして7つの梅の内の3つに皺(しわ)があります。下の写真の四角で囲まれた3つです。梅から液体にエキスが出ています。
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《20gと30gの拡大です。》
ということから、梅酒の糖分の限界量は20gから30gの間にあるのではないか?と仮説が立ちます。
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《そこで今度は糖分量を23g、25g、27gにして梅を漬けてみました。》
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《半年後の様子です。》
梅の実の大きさが漬けた後はどれも小さくなっています。液体に溶け出したことがわかります。23gの実は大きく、続いて25g、27gと小さくなっています。色の濃さも23g、25g、27gの順に濃くなっています。
本来ならば、日本酒梅酒ですから、漬けたから一ヶ月で飲めますが、今回は様子を見て判断することが目的でしたから、味見は10ヶ月後にしました。
20gについても言えますが、どれも梅酒にはなっています。23gは香りの立ち方も悪いし、味も薄くて輪郭もはっきりしません。若干の甘さはあるものの、酸味が強く、余韻も酸味に終始します。
25gは23gに比べても梅酒らしい香りがあります。味わいも梅酒らしいコクが感じられます。余韻は酸味がリードしています。
27gはさらに美味しさがアップしたと実感できます。
結果
せっかく漬けるのですから、ある程度の美味しさは必要ですし、なければつまりません。飲むということを前提にした場合、糖分の最低量は25gになるのではと思います。
これを通常の梅1kgに対しますと、糖分は125gとなります。