富士宮駅

高砂酒造
静岡県富士宮市宝町9-25
TEL 0544-27-2008

 JR富士宮駅までは、JR東海道線富士駅から身延線甲府方面に乗り換え18分、6つ目の駅にあたります。特急の「ワイドビューふじかわ」ですと、1つ目の駅で11分でたどり着きます。富士宮に行く場合に注意しなければならないのは、新幹線新富士駅と富士駅が全然違う場所にあるということです。ですので東海道線と新幹線の乗り換えができません。新幹線の場合は、三島か静岡で東海道線に乗り換えが必要です。

 富士宮駅を下り、タクシーで5分、商店街のはずれに蔵はあります。蔵のすぐ近くには浅間神社の総本山である富士宮浅間神社があります。浅間神社は富士山に御参りする基点ですので、富士宮は参道かつ、門前町ということになります。それからもちろん浅間神社のお神酒はこの高砂です。

 蔵の敷地面積は現在二千坪、以前は五千坪あったそうです。実際行ってみますと、まるで奈良時代の造酒司(さけのつかさ)をしていたような気にさせられます。高砂酒造は天保2年、1831年に創業したそうです。当時は暗い世相だったため、天下泰平を祈り、能の「松の緑」の一節を酒名としました。

 高砂酒造は県内では珍しく、山廃や貴醸酒を造っています。山廃は酒母造りにおいて、自然な乳酸発酵させるため、いろいろな微生物が関与し、複雑な香味成分が生成され、濃醇なお酒に仕上がります。時間的にも精神的にも現在の普通の酒母造りよりも2倍はかかります。もう一方の貴醸酒は仕込み水の代わりに酒を使って仕込みます。高砂のお酒は最後の仕込みの「留め」の時に自社純米酒を使用しています。

 高砂酒造のお酒を造るのは、創業以来、一貫して能登杜氏、現在の吹上弘芳杜氏が今年も腕をふるいます。


高砂酒造 山中滋雄社長

 昭和33年生まれの山中滋雄社長は、蔵の経営に携わってからは、「高砂の伝統とは何か、高砂らしさとは何か、それは確かな物造りの精神である。」という信念を持ち、米・技術・酵母といった時代の産物に埋没しないように挑戦し続けています。

 地酒を中心として販売している小売店の方々には、皆お会いしたい、数量を追うのではなく、高砂酒造の姿勢を認めていただいた上で、酒質が気に入っていただけたならお付き合いいただき、互いに成長してこう、とこのようにいつもにこにこしながら、小売店や従業員を励まし蔵の伝統を守っています。


高砂酒造 玄関

 高砂酒造はJR富士宮駅より北西1km、商店街のはずれの国道139号線沿いにあります。この道路は富士山を西側から周遊し、富士五湖に達します。少し登りますと、名勝「白糸の滝」があります。

 蔵の玄関口は昔ながらの建物で、舗装道路より、土の道が似合いそうです。

 赤いポストがありますが、オブジェではなく、現在も使用されています。本当に集配に来るのか心配になりそうなポストですが、道行く人の気持ちを和ませてくれています。


蔵内用水

 ポストの横の蔵への通用門を入って行きますと、製造、貯蔵の蔵に着きます。さすがに敷地面積が広いだけあって、写真のような用水路が惜しげもなく、大量な水を流し続けています。

 目の前に富士山が迫り、幾つかの歳月をかけ、ここまで流れて来たかと思うと、ノスタノジーを感じます。周りのきれいな空気と広々した風景も演出に一役かっています。


貯蔵タンク

 貯蔵蔵の中では出荷のための瓶詰めを待つお酒がタンクの中で静かに眠っています。酒母造り用の約1.5tの大きさのタンクです。写真のNO.159号は1,481Lと検定されています。どこの蔵に行きましても、この容量のタンクはだいたい昭和30年から40年くらいに購入されたみたいです。ちょうど高度成長期でしたね、日本酒も右肩上がりに売れていたようです。

 石で押さえ付けられている蓋は木製ですが、厚い和紙で空気の換気がないよう、しっかり密封されています。原始的な感じもしますが、これで大丈夫なんですよ。

 

8月の日程表

 夏の暑い8月に蔵に行ってみました。左写真の黒板に書かれていますが、今月の主な作業は「柿渋塗り」です。今ではほとんど聞かなくなった「柿渋」ですが、どこの地域にも、これを作っている柿渋屋さんがあります。静岡市内にも数件残っています。

 柿から作ったエキスです。焦茶色した、いやな匂いが強烈にします。これを塗ると殺菌ができ、道具が長もちするそうです。写真のかごは、すでに塗ってあります。木造建造物の外壁にも塗りますので、気を付けていれば見ることができるかもしれません。


柿渋塗り

 柿渋塗りの作業を蔵内の人がしていました。「たまんないっすよ、この臭さ、くさいでしょ、もう一ヶ月もこんなことしているんです」と暑い中、必死でこらえながら仕事をしていました。

 すごく強烈な匂いですが、お酒には移りませんので御安心を。

 実はお酒の中にも「おり下げ」のために使うこともあります。搾った後、清澄剤の役目をします。この時使う物とは、程度が違いますので気になさらないで下さい。


ハスツライザー

 私がうかがった日は、蔵に「パスツライザー」という火入れの機械を入れていました。パスツライザーは有名なパスツールから由来している通り、低温殺菌器です。日本酒の世界では「火入れ」と呼んでいます。

 瓶詰めされたお酒がこの機械を通りますと、徐々に温水シャワーで加熱され、ある一定の温度になりますと、冷水シャワーで冷却されるという、すぐれものです。

 ベルトコンベアーに乗せられ、一分くらいで火入れが完了します。


飲みきり、内覧会

 高砂酒造蔵内にて新酒の出来た時に「内覧会」、夏を越え熟成が進んだ時に「飲みきり」を流通業者向けに開いています。

 私達酒屋としては、発売する前にお酒の状態を見れますので、安心して売ることが出来ます。

 このようなことでもやる気のある姿勢がわかりますね。やはり物造りに掛ける情熱を感じます。


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