名酒と銘酒の違い

 「名酒」と「銘酒」の違いは何か? そのような御質問をいただきました。
 単純なる疑問ではあるが、答えには窮する。そのようなひとつがこの名酒と銘酒の違いでもありましょう。ネット上の酒屋さんには「銘酒〜〜屋」というお店が多いです。もしかしたら、同音同意かな。こういうことは辞書を頼るのが常套手段。

 「名」と「銘」の意味から調べました。
 「名」は名高い、優れた。
 「銘」は制作者が製品に名を刻むこと。酒や茶などにつける特別な名称。銘の打ってある確実な品物。

 続いて、「名酒」と「銘酒」も調べました。三省堂の国語辞典によると、
 「名酒」は名高い酒、優れた酒。
 「銘酒」は特別な名前を付けた酒。

 三省堂の広辞林には「名酒」は出ていませんが、「銘酒」は出ていて、特別な製法で造り、特別な名称を付けた酒とあります。さらに「銘酒家」も出ており、銘酒を売る店の他、表面では銘酒を売り、裏面に淫売婦をかかえてお客を引く店とあります。

 このようなにみていきますと、「名酒」は単純に美味しいと評判な酒ですが、「銘酒」は複雑です。「名酒」は飲み手が作り上げた名高い酒。「銘酒」は作り手や売り手が作り上げた特別品であり、優れた品となりましょう。

 歴史をさかのぼると、昔はどぶろくなどはどこでも造っていました。江戸時代になると幕府から許可を得る。つまり今で言う納税すると、名を与えられて登録されたそうです。これを幕府の酒造株鑑札と言います。新潟で最古の蔵は青木酒造であり、熊本の最古の蔵は松下醸造場となっていますが、これらは最初に登録されて正式な名をもらったことに由来しています。多分名酒はいつくかあったでしょうが、銘酒は幕府から登録された蔵だけ。

 したがって、「名酒」は飲み手が作り上げた名高い酒で、「銘酒」は作り手や売り手が作り上げた特別品の他に、公の機関から与えられた名がある酒と加えることが出来ましょう。

 江戸時代は登録されて名があるお酒しか他の地域に流通されませんから、他の地域からしてみれば名がある「銘酒」がその地域の代表するお酒であったでしょう。「銘酒」を「名酒」として扱っていたことでしょう。それが今も引き継がれ、お酒を名前で選んでしまう習慣があるのではないでしょうか。

 

 名酒と銘酒について、私はすごく勉強になりました。御質問に感謝。

 さて、この質問は名質問か、それとも銘質問でしょうかねえ。

 野球選手でも名捕手はいても銘捕手はいない。

 こう考えるといっそうわかりやすいですね。

豆知識  丸河屋酒店