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 ”酒縁に感謝  ” 静岡 丸河屋 「ただいま」NO.91 2003/7/15
 
 
      酒の数ほど浪漫があって、盃の数ほど夢がある。
 
       こんにちはっ! 丸河屋の河原崎吉博です。
 
     「分かち合えば喜びは倍に、悲しみは半分になる。」
         そんな蔵元に行って参りました。
 
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■蔵元訪問特別号
 
 松下酒造訪問記   前半 「陸の孤島の最果てで見つけたものとは」
 
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 清酒と焼酎の日本酒専門店 静岡丸河屋の担当者 河原崎吉博です。
 
 今日は内容をいつもとは、がらりと変えて、お送りします。
 
 
 では はじまり はじまり〜♪
 
 ついに実現しました。行って来ましたよ。松下酒造にです。
 
 松下酒造は当店の人気NO1.米焼酎「萬屋次兵衛」の製造元であります。
「萬屋次兵衛」は1978年産の25年古酒であります。もう御存知ですよね。
http://www.marukawaya.com/shochu/matsushita/yorozuya.html
 
「萬屋次兵衛」をお飲みになった方はもちろん、「萬屋次兵衛」をまだ
知らない方も、よろしければ最後までおつき合い下さい。
 
 
 熊本県は球磨郡の水上村というところにあるのですが、一体どんなと
ころかおわかりになりますか?これがとってもいいところなのですが、
遠い遠い、「陸の孤島は長野の飯田か熊本の人吉か」と詠われる人吉
から更に奥深く入ったところにあります。人吉はひとよしと読み球磨
焼酎のメッカです。聖地であります。私は人吉をじんきちと思っていま
した。愚か者です。
 
 
◆松下さん、私、日帰りを考えているのですが・・・・
 
 一度行きますよと言いつつ、なかなか実現できないので、もう日付けを
決めて、その日は必ず行こうと決めていました。7月12日の土曜日に出発
して13日の日曜日に帰って来ることにしていました。
 
 まず、地図を見て、住所を確認。
 
 何と、電車が走っていない、駅がない。
 
 「松下さん、いったいお宅にはどのようにして行くのですか?」
 
 「水上村は地図で見つけましたが、蔵はどの辺りでしょう。ダムより
  もまだ先きなのでしょうか?」
 
 「時刻表を見ましたが、とにかく、そこまで行くには熊本空港から電車
  を乗り継いで、6時間はかかりますねえ。日帰りを考えていますが、
  他に何かよいルートはないでしょうか。」
 
 地図や時刻表を見るにつけ、私は???から。o○。o○ へと。
 
 
 松下さんからは、鹿児島空港経由の方が近いので、そちらから来るよう
に言われ、日帰りなんか到底無理だから、うちに泊まりなさいと言われま
した。
 
 結局人吉までは自力で行き、そこから蔵までは車で送ってもらうことに
なりました。
 
 
◆出発の朝
 
 6時発の新幹線に乗るために、4時に起きました。静岡は集中豪雨で、雨
や風、雷が鳴り響いています。「うああ、どうしよう、これでは新幹線は
動かないや。」新幹線代は帰って来るものの、飛行機代や松下酒造さんへ
の訪問は諦めかけて、雨路を駅に急ぎました。びしょびしょに濡れて走っ
たせいもあってかどうかはわかりませんが、新幹線は動き始めました。
 
 名古屋は雨は降ってはいるものの、雨脚は遅く、これなら飛行機は飛ぶ
と思いましたので、必死でバスターミナルまで走り、出発直前のバスに乗
り込みました。空港まで、ぎりぎりセーフです。
 
 
◆飛行機と魚
 
 飛行機とかもそうですが、乗り物全般について私は弱いです。はっきり
言ってきらいです。狭い中をじっとしていて酔います。
 
 飛行機に乗ったはいいものの、自分が飛行機が苦手ということを思いだ
してしまいました。
 
 飛行機って何に見えますか?
 
 それは飛行機以外の何ものでもないだろ。
 
 単純明解でしょう。 しかし? 私には魚に見えてしまうのです。
 
 あの大きな飛行機が鯉のような魚に感じ、飛行機が放射線状に空港に集
まっているのを見る度に、魚の群れを感じてしまいます。それがすごく気
味が悪いわけなのです。
 
 その気味が悪い狭い飛行機に、しっかりと腰を落ち着けて、いよいよ離陸。
ボウーボウーとエンジンが唸り、機体は急加速し始めました。車では得られ
ないような重力に逆らう力、Gを感じています。ジェットコースターにも似
ています。
 
 うわあ!ちゃんと離陸できるのかなあ?
 
 どうせだめなら、昨日思いっきり萬屋次兵衛を飲みまくればよかった。
 
 気の小ささを飛行機のせいにしながら、祈るように目をつぶったまま、
飛行機は鹿児島空港に無事着陸しました。
 
 
◆松下さんと御対面
 
 鹿児島空港からハイウェイバスに乗り、宮崎県を一部横切って熊本県に
入いりました。乗り物嫌いでも、ずっと乗っていると、嫌いという気持ち
にも飽きがくるというものです。終点の人吉までには爆睡してしまいまし
た。
 
 きっと私には珍しく、いびきがうるさかったのではと心配でした。
 
 陸の孤島の人吉とは、どんな街なのか。うろうろとしていました。人吉
駅は雰囲気がよく、自分の好みです。街には高層ビルはないものの、ここ
は都市だということを感じます。球磨焼酎の聖地にやっと辿り着きました。
 
 待ち合わせの人吉産交で待つこと10分。松下さんらしい人が白い車から
降りて、こちらに向かって来ます。電話では何回も話したことがあります
が、実際に会ったことがないので、こちらから松下さんでしょ?と声をか
けられません。私がリュックサックを持っていることを告げてあったこと
もあり、松下さんの方から「あれ、丸河屋さんですよね。」と近づいて来
てくれました。松下さんは思ったよりも、がっちりした九州男児でした。 
 
 
◆陸の孤島の最果てにあったものは・・・・
 
 人吉から水上村に向かうために、フルーティーロードという新しい道路
を飛ばしました。本線道路から山の中に敷かれたこの道路は信号すらひと
つもない、快適高速かのようです。果実園が辺りにあるらしく、この名前
ができたそうですが、道中話がはずんで、景色をじっくり見る余裕があり
ませんでした。私にとっては、あこがれとも言うべき「萬屋次兵衛」を造
っている松下さんと初めて会えたわけですから、景色なんてどうでもいい
わけです。まるで遠距離恋愛みたいです。
 
 1時間くらい走り、松下酒造へ到着。奥様や事務のきよみさんと挨拶を
したと思ったら、また出発。おそばを食べに行こうと車はまた走り出しま
した。
 
 水上村産の蕎麦から作った手打ちそばをいただきました。空気が美味し
いので、おそばの美味しさも増します。おそばを食べていると、人がよっ
て来ました。松下さんの知り合いです。ひとり、ふたり、みなさん丁寧に
あいさつしたり、仲良く話をしていました。水上村のように過疎が進むと
村人同士が仲良くなるのではと感じました。ひとりひとりを大事にしたく
なってくるのでしょう。
 
 松下さんの車は、また動き出しました。今度は村営のキャンプ場に行く
らしいです。市房山という熊本県で2番目に高い山の登山口に、そのキャ
ンプ場はありました。夏だというのに、ここまで来ると涼しいです。この
日は保育園児と父兄さんらの宿泊があるらしく、村民の方々が大勢で忙し
く準備をしていました。松下さんは会う人ごとに声をかけられます。まる
で小泉総理が来たように、みなさん歓迎してくれています。横にいる私ま
でにも、みなさん挨拶を丁寧にしてくれますので、何か変に申し訳なく思
ったくらいですが、そんな人との接仕方が、この村の日常なのでしょう。
 
 水上村の人々は都会の人々のイメージとは、まったく正反対な印象を受
けました。
 
 陸の孤島の最果てには、緑豊かな自然と人間のぬくもりが、あまりあま
るくらいたくさんありました。
 
 
 キャンプ場を出て、車は更に山奥に入ります。球磨川の源流までやって
来ました。九州中央山地国定公園の白水滝まで登って来ました。松下さん
と私は、少年のように、滝と滝を結ぶ吊り橋や遊歩道をかっぽかっぽ歩き
ました。後から地図を見て驚きましたが、峠の向こうには宮崎県の高千穂
高原があるのです。
 
 車に戻ると奥様からの電話が鳴り、家路につきました。
 
 
◆ついつい飲み過ぎて、酔いつぶれちゃいました。
 
 私は自分で言うのも神経質です。他人様の家に泊まると言うのは、とっ
ても苦手です。しかし、松下酒造さんを紹介してくださった、「松下酒造
の応援サイト」を運営するりゅういちさんは、しばしば松下さんに来ては
延泊していると聞いていたので、私も遠慮なく泊まる決心をしました。
 
 紹介してくださったりゅういちさんからは、松下さんの家のことを聞い
ていました。旦那さんの松下さんが、御客様が来た時には、お料理を作っ
ておもてなしをすることも、あらかじめ知っていました。私が泊まった日
も同様、松下さんは汗をたくさんかきながら、料理を作っています。男の
手料理です。どんなお料理が運ばれて来るか興味津々です。
 
 この日に出された料理は、味噌付け豆腐、鹿の刺身、野菜サラダ、タコ
とサーモンと野菜のサラダトマトソースベース、などなど。あっぱれです。
同じ男として、見習わなければと反省してしまいました。
 
 松下さんは料理が好きで料理をしているのかと思っていたのですが、別
の理由がありました。それは蔵元を支える男の家族愛でした。これ以上の
詳しい説明はしませんが、なかなか松下さんのようにできる人ばかりでは
ないとあらためて、感心してしまいました。
 
 私もいずれは、みなさまが御来店して泊まっていかれることを考えて、
男の手料理を勉強したいと思います。御期待下さい。
 
 話を元の松下さんちに戻しましょう。
 
 我々の盛り上がっている声を聞き付けたのでしょうか。近所の方が集ま
ってきました。聞けばいつもこうして、近所の方々同士は飲んでいるとの
こと。この風景がそのままNHKの「昼どき日本列島」にも生で放送されたそ
うです。私も御近所のみなさんと初対面にも関わらず、打ち解けて飲みま
くってしまいました。多少方言もあってわからない場面もありましたが、
そんなことは酒好きには関係ありません。とことん飲みました。何しろ
蔵元ですから、焼酎には困りません。
 
 調子に乗って飲んでいたものですから、すっかり酔っぱらってしまいま
した。見れば松下さんも、畳の上に横になっています。車の運転や山登り
にお料理に疲れてしまったのでしょう。私もこの日はギブアップで眠るこ
とにしました。
 
 
◆松下酒造は東京ディズニーランド
 
 朝の6時に町内放送のラジオ体操が始まり目を覚ましました。ものすごく
飲みすぎたのに、二日酔いは少ししかありません。焼酎は次の日に残りに
くく、飲んだ次の朝は楽です。
 
 ふと気が付きました。 もう感激でした。
 
 枕の横には、水の入ったジョッキがおぼんの上に置いてあるではあり
ませんか。飲み過ぎた私の体を想って、水を持って来てくれたのでしょう。
おぼんの上は濡れています。きっと氷水を入れてきてくれたとわかりまし
た。思わず松下さんの奥様の優しさに感激してしまいました。松下さんは
まるで感動が感動を呼ぶ、東京ディズニーランドのようです。
 
 
 これにて松下酒造訪問記の前半を終わりにします。
 
 今号では、お酒の内容についてはまだ出て来ません。実際1日目はお酒
については触れることはありませんでした。
 
 松下さんは言います、「大手蔵に行くと、最初から最後までかしこまっ
てお酒の話しをするでしょう。しかしうちのような小さい蔵のいいところ
は人間同士触れ合える。まずは何も遠慮せずに、たっぷり松下酒造に浸か
って下さい。お酒の話しはそれからにしましょう。」
 
 なるほどなあと思いました。焼酎蔵の姿勢とか経営スタンスが訪問して
みてよ〜くわかりました。清酒蔵畑を歩いてきた自分にとっては重大な発
見でした。次号の後半では、松下酒造の焼酎や経営方針について熱く語り
ます。
 
 
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後書き
 
 今号は商品の登場もなく、勝手な訪問記となりました。みなさまの御感想
も両極端かと想像しています。わたしにとっては2回目の焼酎蔵の訪問でし
たし、それがつい2日前ということで、感激覚めやらずといった感じです。
相変わらずの売れない丸河屋のメールマガジンでした。それでもどうか大き
な懐で見守っていただけたらと思います。
 
 最後に松下酒造さんを紹介して下さったりゅういちさんのサイトを紹介
します。こちらから御訪問下さい。
http://homepage3.nifty.com/yorozuyazihee/index.htm
 
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今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
貴重なお時間をすいませんでした。
 
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発行しています。 (http://www.mag2.com)
次回は7月30日に発行いたします。
 
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