第2回世界きき酒師コンクール二次審査口頭試問問題

 名古屋予選の問題を審査員として解答しておきます。なお、このページで公開することは全ての予選が終了していますので、大会本部の実行委員の承認を得ています。
 あくまでも私の解答であって、主催者である日本酒サービス研究会の解答ではありません。日本酒サービス研究会への御質問は受けませんので御遠慮下さい。会場ごとに使用酒も違います。

●設問1
 1番の日本酒について「外観」「香り」「味わい」「4タイプ別分類」のコメントを1分30秒以内で述べて下さい。


1番のお酒は喜楽長の大吟醸

答え:
 淡い黄緑色をしたきれいな色で透明感もあり、健全なお酒とわかります。涼しげでやさしいさを感じる色合いです。粘性はやや弱く見えます。
 メロンやバナナ、マスカットのようなフルーティーな香りにミルクキャラメルのようなクリームを連想させる香りが加わっています。香りのトーンは強く、複雑性は中程度。華やかで清々しいお酒です。
 口当たりも優しくきれいにすんなり入ります。気品を感じるこのお酒はアタックも優しく、この温度ですと清涼感を感じます。香りの高さからやや甘味を感じますが、切れがよいので、総合的には中口に入るのではないでしょうか。余韻は短く、飲み込んだ後から、マスクメロンを食べたあとで感じる香りが口の中に戻ります。

 4タイプでは典型的な薫酒になります。

解答のポイント
「外観」は(健全度)(具体的色調)(粘性)について述べます。「香り」は(強さ)(複雑性)(主体となる香り)(具体例)について述べます。「味」は(飲み口)(アタック)(濃淡度)(甘辛度)(余韻)(アフターフレーバー)について述べます。

●設問2
 2番の日本酒について相性が良いと思われる料理のパネルを1つ選択し、その理由を1分程度で述べて下さい。


あさ開の水神、純米大辛口

つまみは次の10品でした。

1.真鯛とアオリイカの刺身→6点
2.関東風牛ロースすき焼き→9点
3.ハモと松茸の土瓶蒸し→8点
4.豚バラ肉と大根の煮物→10点
5.イクラ・ウニなどの珍味類→7点
6.マグロとトリュフのサラダわさびソース→3点
7.ファアグラと鰻のソティー バルサミコ→2点
8.極上フカフレの煮込み→1点
9.山菜の炊き合わせ→5点
10.蕎麦→6点

答え:
 このお酒は麦わら色からもわかるように、香りや味にも熟成感があります。純米酒らしい米の風味を感じ、冷たい温度よりはやや温めて飲みたい気になります。非常にすっきりとした辛口で、アルコールもやや高めなために力強さを感じます。
 このようなことから、味の濃い和食には非常によく合います。私は豚バラ肉と大根の煮物を筆頭に合わせます。肉の充分な旨味と醤油の味が、やや熟成間のあるこのお酒の強さと合います。また、このお酒を温めた時に発揮するお米の味のコクもバランスよく合いますし、大根の苦味とお酒の後味の苦味とが相乗効果で、次々と口の中にすすむことでしよう。
 あまり温度が高すぎますと、辛すぎることもありますが、辛子をつけた場合には好相性となることでしょう。

●設問3
 3番の日本酒について適切だと思われる酒器のパネルを1つ選択し、その理由を1分程度で述べて下さい。


仙禽の葵日光、純米

酒器を書きます。

1.竹→8点
2.白磁→5点
3.お燗用→9点
4.蛇の目ぐいのみ→4点
5.焼き締めの徳利と猪口→10点
6.ワイングラス形状→5点
7.ラッパ形状→3点
8.すず製→3点
9.小型タンブラーと枡→5点
10.ロックグラス、切子→7点

答え:
 淡い黄緑色をして透明感のあるこのお酒はふくよかな米の香りがあります。冷やして飲みますときれいな飲み口ですが、少し温めた方がふくらみが広がるでしょう。このようなことから冷や(常温)から燗をつけて飲むのが一番よいと思われます。
 このお酒にふさわしい酒器は焼き締めの徳利と猪口がよろしいかと思います。見かけや手に持った感じもふくよかさに通じますし、お酒を注いだ大きな平盃から昇る香りも丁度よい加減です。この盃は唇がまずお酒に触れることになり、それから舌先へと触れていきます。味わい豊かな広がりを感じるのに適しています。

●設問4
 4番の日本酒について、どのようなターゲットに、どのようなシーンですすめるべきか、1分程度で述べて下さい。


仙禽の春眠古酒(10年古酒)

答え:
 10年寝かせてあるだけに色も黄金色を帯びています。色からして一般的な日本酒とは様子が違っています。香りもシェリーや紹興酒的な感じがしますので、特別な日本酒の中に入ります。

 このように時を重ねて花が咲いたような日本酒は、人生の時を幾層にも重ねた方にお飲みいただきたいと思います。還暦のお祝い、銀婚式や金婚式などのお祝の日にじっくり味わい、思い出を振り返る。その場面をお手伝いする酒類として、このお酒は重宝で実力も発揮できる事でありましょう。このような時が経つことによってお祝される日の乾杯のお酒としておすすめしたいと思います。グラスは錫製やお揃いの切り子や金盃がこのお酒の色にも合いますし、場を引き立ててくれるでしょう。色合いからもそうですが、しみじみ飲まれることでしょうから、穏やかな秋から冬の日がいいと思います。

●設問5
1番から4番の日本酒の中で、最もお燗に適するのは何番でしょうか。1アイテム選択し、理由と共に述べて下さい。選んだお酒ごとの点数を書きます。1番→1点、2番→7点、3番→10点、4番→4点

答え:
 2番と3番が燗には向いていますが最も向いているのは3番です。2番は大辛口であり、アルコール度が高いために、温度帯は狭まります。つまり辛くなりすぎることが多くなるでしょう。3番は幅広い温度帯に適応し、冷やから熱燗まで美味しく飲むことが出来ます。温まった時に感じられるふくらみが、最もこのお酒の持ち味で、このお酒以外の3つにはない長所です。ふっくら美味しい炊きたてのごはんを想像します。

●設問6
 あなたの郷土(県、地域、故郷、現在の住所いずれでも可)の食文化と地酒の特徴、そしてその魅力を2分程度で述べて下さい。

答え:
 私は静岡県静岡市に住んでいますので、静岡県の食文化と地酒について、その魅力を述べます。静岡県は東西に非常に長い地域であります。東海道五十三次の中の22次が静岡県内にありますし、東名高速道路のインターの数が16、また新幹線の駅の数は6つとその幅の広さがおわかりになることでしょう。
 東西すべてが海に面しています。東から伊豆、駿河湾、遠州灘に浜名湖。新鮮な魚介類が豊富です。例えば伊豆には高足カニなどを含めたの深海魚や伊勢海老、駿河湾は桜海老やシラス、遠州灘はふぐ、浜名湖はうなぎなどの特産品があります。遠洋漁業港の清水と焼津があるので、マグロやカツオといった魚も水揚げされます。
 近場でこのような新鮮な魚介類が豊富なため、生で食べることも多いですが、茹でたり煮たりもします。加工品の鰹節も伝統的であり、欠かせない食材であります。これら魚介類から作った練り製品などをおでんとして食べ、さば粉と青海苔をかけるのを伝統としています。これらはお酒にもぴったり合うわけで、静岡県民は魚介類とそれに合うきれいな新鮮さがある端麗な酒類が好みです。
 温暖な気候風土の中に生活していますので、のどかにほのぼのと食事や飲酒をするシーンをみかけます。都会ではなく地方の人間関係がそうしているのでしよう。
 静岡県には2006年現在、免許の上では33の蔵があり、製造しているのは29蔵あります。東西に長い静岡県には3つの大きな河川があり、それぞれの川の水の要素が仕込水にも多少影響しています。静岡県の蔵元同士は全体的にはまとまりがあり、静岡酵母を使ってできる、きれいで丸い酒質を目標としています。近年、山形、静岡、高知が業界をリードしていると言われる所以だと思います。
 新たな潮流としては、味口のお酒も造ろうと、伝統的な製造方法である、生モト系のお酒も造られるようになりました。酒造好適米も個性ある酒質を目指すと言うことで、誉富士という酒米も開発し、県下全体で盛り上がりつつあります。
 静岡県はその立地を生かした、また気候風土にもあう食文化を着々と形成し、他県から来られた方にも魅力ある地域となることでしょう。

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答えのポイントとして下記についてコメントがあるといいでしょう。
(郷土の特産品)(一般的な郷土料理)(伝統的な郷土料理)(郷土の人々の嗜好)(気候や気質に関係した嗜好の理由)(郷土の蔵元の件数や紹介)(地酒の香味の特徴)(郷土の酒米の特徴)(郷土の仕込水の特徴)