きき酒テクニック:しぼり癖

 お客様から質問されました。

 「お酒が赤いのですが、何ででしょう?」
 「丸河屋さんで買ったのではなく、T屋さんで買ったSSの特別純米酒なんですが。」
 「丸河屋さんで買った本きき猪口を使ったら、その色に気づきました。」
 「透明なグラスだったら、わからなかったかもしれません。」

 御来店いただき、そのお酒を持ってきてくれました。その場で判断してあげたかったのですが、まだ営業中でしたので、店のシャッターをしめてからきき酒しました。

 透明なグラスに注いでみました。

 写真ではわかりにくいですが、何となく赤みを帯びているようであります。

 先入観なく、飲んでしまえば、気が付かないくらいの色具合です。

 きき猪口に注いでみました。

 本きき猪口ではない方ので確認してみました。

 これも写真ではわかりにくいですが、肉眼では、赤く色がついているなあとはっきりわかります。

 きき酒してみました。

 香りは生の赤い果実を思わせます。お客様もイチゴのような香りがするとおっしゃっていました。

 口に含みました。一瞬で判明しました。これは典型的な「しぼり癖」であります。「袋香」(ふくろか)とも呼びます。

 発酵が済んだもろみは搾られます。袋に入れて、重力や加圧によって搾り出される方法や、アコーディオンやじゃばらのようなやり方で、大きな機械で両横から圧力を加えてしぼり出される方法が一般的であります。この時使う袋状の物や板状の物に雑菌が付いていると、搾るお酒に影響します。

 口の中であきらかにわかる異常な味わい。ビリビリッと電気が走りながら、渋味を感じます。飲むには不適格であり、私は口から吐き出してしまいました。

 搾る時の癖がつくことはよくありますが、癖を取るために、活性炭などを使って濾過します。

 この蔵は、生産量と作業量との差があるために、せっかくうまく発酵させても、最後の搾りで台無しにしてしまったようです。

 ちなみに、赤みがかる理由はいくつかあります。今回は雑菌のいたずらであるわけです。

 そして、このしぼり癖を好む方もいらっしゃいます。嗜好性の問題ですから、仕方ありません。


お酒の講座 / 丸河屋