日本酒の楽しみ方 SBS学苑パルシェ 第14期

 ●SBS学苑パルシェ校 日本酒講座 「日本酒の楽しみ方」第14期内容 2009/4〜9

日時

講議内容

使用酒

4月21日

「吟醸酒」

芳しい香りの高いタイプの吟醸酒を学びます。

5月18日

「蔵元ゲスト登場」

静岡市駿河区にある君盃酒造さんがゲストにきます。

6月16日

「おそばとお酒の相性研究」

おそばにあう日本酒はどんなタイプでしょうか。

7月21日

「酒米」

日本酒の原料であるお米について理解します。

8月18日

「焼肉との相性トーナメント」

焼肉にあう日本酒を探ります。

9月15日

「燗酒」

ぬる燗、上燗、熱燗を体験します。

お申し込み・お問い合わせはSBS学苑パルシェ 電話 054-253-1221

8月18日(火)  「焼き肉にあう日本酒を探ります」

 夏の日に夏らしいお料理。それは焼き肉ですね。日本酒と焼き肉? とお思いかもしれません。夏らしく、焼き肉と日本酒の相性研究をしてもらいました。

 日本酒はバラエティーに富むように8種類お持ちしました。

・富士錦 純米樽酒
・七田 純米おりがらみ
・国盛 にごり酒
・まめ鬼
・杉錦 吟醸(大吟醸)
・南アルプス
・杉錦 山廃純米
・達磨正宗 5年古酒

 対する焼き肉は塩コショウとタレがありましたが、塩コショウに統一。

 塩コショウでどうしても判定できない場合は、タレの方を使ってくれていました。

 焼き肉には野菜もあいます。サラダも用意してありました。

 今回も薬膳料理のあのお方にお造りいただきました。

 焼き肉の量はけっこうありましたが、おかわりしている人もいたくらい。美味しかったですよね。

 今回の相性研究は、お酒のトーナメントにして、一番あうのを決めてもらいました。

 講座らしい取り組みです。

 みなさんのテーブルはこのように8つのグラスが並んでいました。

 無色透明に近いもの、白くにごったもの、茶色に輝くもの、麦わら色をしているもの、若干炭酸ガスの泡があるもの。

 日本酒でもこんなに違いがあるのです。見た目も意外にバラエティーです。

 この日は夏休み明けであったために、お仕事が忙しかったのですね。出席者は8名様でした。4人と4人に分かれて、2つの班を作り、焼き肉と日本酒の相性研究をしてもらいました。御意見をまとめられた班長はん、ありがとうございました。

 A班とします。 B班とします。 
 焼き肉も味加減であうお酒も違ってくるし、トーナメントであわせるお酒が違えば、結果が違ってくるとのお声もありました。それはそうです。しかし傾向はわかるのではと思います。

 後述する結果、そして過去に一度同じような相性研究をやったことがあります。その時の結果も照らし合わせていきましょう。

 相性がいいのはどういうことなのか?その物差をみんな共通にしなければ、意味がありません。自分にとって美味しければ、それは○なのか。何度となく書いていますが、相性研究は味覚の科学であります。その時その時で変わってしまう嗜好とは違います。

 ここであらためて、相性診断の基本ルールを説明します。私がこれまで取り組んできたオリジナルの考え方です。河原崎流相性診断ルールで恐縮です。

 相性診断は◎○△×で行ないます。

 人の感覚によって、あうか、あわないのかを判断します。お酒もお料理も嗜好品なので、嗜好的要素が伴いますが、相性は好き嫌いから判断されるものではありません。

 また、美味しいとか、美味しくないとかの個人的な嗜好からも判断されるものではありません。

 お酒とお料理の相性は嗅覚と味覚の科学であります。好き嫌いなどではなく、相性研究としてのルールに基づいて判断されなくてはいけません。

 お酒とお料理(飲み物と食べ物)に限らず、「飲み物と飲み物」「食べ物と食べ物」が出会いますと、次のようなことが起こります。

 相性診断結果 A班

 4人での投票をもとに進めましたので、2対2になることもあり、苦労する場面もありました。

 まずは左から見ていきます。炭酸ガスの入った七田おりがらみと低アルコール度のまめ鬼は同点となりました。ひとまずそれはそれとしておいておき、次の甘味のある国盛りにごり酒と新鮮な樽の香りがし、コクのある富士錦の樽酒を比べます。

 富士錦樽酒が勝ちましたので、それと七田おりがらみとまめ鬼の3つで投票。富士錦樽酒が決勝へと進出しました。

 続いては常温で5年寝かした濃醇な達磨正宗古酒とすっきりさわやかな本醸造の生詰の南アルプスです。古酒もそこそこの相性ではありましたが、さっぱりした本醸造にはかなわなかったようです。

 杉錦同士の対決となった最終組は、焼き肉とあわせたときの飲みやすさから山廃純米が優勢勝ちし、決勝へと駒を進めました。

 決勝は樽酒対純米酒。ここはコクがあって飲みやすい純米酒が勝ち、優勝となりました。

 焼き肉と日本酒の相性研究の上位は次の3つ。

1位 杉錦 山廃純米
2位 富士錦 純米樽酒
3位 南アルプス 生詰特別本醸造

 焼き肉の塩コショウは日本酒全般に対してそこそこあいます。特に塩があいますね。そこに焼いた香ばしさと肉の旨味である油脂とタンパク質があり、純米酒のコクと釣り合いが取れてあったということでしょうか。

相性診断結果 B班

 こちらの班も4人でしたので、勝ち負けをつけにくかったようです。8つのお酒は似たタイプ同士を一回戦にあわせました。

 まず、すっきり系同士では南アルプスが圧勝のようです。低アルコールの水のように流す効果がどのくらい焼き肉とあうのかと、選んできてありました。

 杉錦同士はA班と同じで純米酒の勝ち。冷えた大吟醸の苦味が後味に残るのでしょう。お酒だけで飲むのとお料理とあわせるのでは違ってきます。

 にごり同士は炭酸ガスのすっきりさからでしょうか、甘めのにごり酒を破りました。樽酒と古酒の対決は面白いですね。ここは僅差で古酒が優勢勝ちをおさめました。

 二回戦はすっきり系と南アルプスがコクのあるタイプである純米酒を破り決勝へ。スパイシーでもある焼き肉の後味をすっきりさせてくれるからでしょうか。

 発泡にごり酒の七田と古酒もすっきり感の飲みやすさから、七田が勝ったことでしょう。

 決勝戦は生詰の本醸造と生酒の炭酸ガス入りの純米にごり酒。接戦の上、七田が勝ちました。炭酸ガスの効果がポイントだったのかもしれません。七田のアルコールの高さがちょっとという方もいました。

 B班の上位3つです。

1位 七田おりがらみ 純米生酒発泡おりがらみ(にごり酒)
2位 南アルプス 特別本醸造生詰
3位 杉錦 山廃純米

 A班B班に共通しているのは、上位3つの内に南アルプス(特別本醸造)と杉錦山廃純米が入ったということでありました。

 2005年の8月にも同様な相性研究をしました。

その時のお酒は次の5本でした。

1. 南部美人 純米
2. 南部美人 純米夏のにごり酒(発泡なし)
3. 七田 純米
4. 七田 純米おりがらみ(発泡あり)
5. 国盛 にごり酒(甘口)

 焼き肉は私が作りました。豚肉とエバラ焼き肉のタレで作りました。その時も2つの班に分かれてもらいました。
 
 
 それぞれの優勝は国盛にごり酒(甘いにごり酒)と南部美人純米生にごり酒(さわやかなにごり酒)の2つが選ばれました。

 2005年と2009年の結果をまとめます。

 2005年:焼き肉(タレ)にあうのは「すっきり系のにごり酒」と「甘口にごり酒」
 2009年:焼き肉(塩胡椒)にあうのは「コクのある純米酒」と「爽やかなにごり系」

 2005年に使った南部美人のにごり酒は夏向きのにごり酒であり、生酒でアルコール度数も15.5゜の一般的数値ですから、グイグイ飲めるとまではいかないにしても、本醸造的要素が多かったです。だからすっきり系のにごり酒としました。国盛は糖類を添加した典型的な甘口にごり酒で、ヨーグルトのような感じもしていました。

 上のようなことは仮説ですが、傾向は出ているのではないでしょうか。

 わかりやすく言いますと、

 「焼き肉はタレのように味が濃くて強ければ、コクも旨味も強いにごり酒とあい、味付けが塩胡椒のようにシンプルならば、爽やかなにごり酒からコクのある純米酒にあう。」

 つまり、焼き肉と相性のよいお酒は、純米酒からにごり酒の幅の中にある。

 また、2009年の結果から、樽酒や古酒の可能性も垣間見れました。焼き肉にかける調味料によっては、にごり酒や純米酒を上まる相性を見せるかもしれません。樽酒と胡椒の相性はよくないと言われたことはその通りと思っていますし、山椒とは良いということも実証済であります。

 古酒はナッツ類や特定の果実との相性が良いので、これらを使ったソースを使えば、かなりの成績を残せると期待させてくれます。

 樽酒や古酒をメインに、それらと相性の良いお料理を探るのも楽しそうです。焼き肉と日本酒の相性研究も含めて、また講座で研究できればと思っています。

4月21日  「吟醸酒」

 吟醸酒、華やかでフルーティーな時間を過していただきました。明治からの日本酒の歴史は吟醸酒の歴史でもありました。今日のように高精白な精米機は昭和8年の誕生。吟醸酒と銘打ったお酒が登場したのが昭和38年。我々が飲んでいる香り高い日本酒の歴史は浅いものです。

吟醸酒の印象

 みなさんからお寄せいただいた言葉です。

 香り高くきれいなお酒に集約されると思います。静岡の吟醸酒も香りほどよくきれいで丸いお酒と表現されていますから、馴染みのあるお酒ですよね。

 次のような御質問もありました。「純米が吟醸酒につくと何?」

 法律上、吟醸酒と名の付くのは、「純米大吟醸」「大吟醸」「純米吟醸」「吟醸」の4つです。

 純米表示は原料に醸造アルコールを使っていないことを意味しています。米と米麹だけで造ったのが、純米酒と思われがちですが、法律上明記しなくてもよい食品添加物が入っている場合もあります。

 無濾過表示のないのは、活性炭使用。
 山廃やキモト表示のないのは、乳酸使用。

 山廃純米無濾過酒と名乗れば、活性炭や乳酸は使ってはいないのですが、酵素助剤は使っている可能性もあります。活性炭といっしょに珪藻土も使います。

 食品添加物の表示義務が厳しくなれば、本当の材料がわかります。原材料と材料では違うこともありますね。

きき酒

 4本の吟醸酒をきき酒してもらいました。いつもはもっと容量が多いですが、さすがに吟醸酒となりますと効果。量より質です。

 4本を香りの表現用語も使い、どのような香りがするか、言葉で表せてもらいました。このようなことは習慣がつくと楽になります。

 他人の表現はパクることも大事です。

 大事なことは隠れていて見えない。

 酒造りだって同じ。

 機械によって香りを付けることです。現在はそんなことをしなくたって、香りを出す酵母がありふれています。昔は他人よりも香りの高いお酒を目指しました。

 日本酒の醗酵中は密閉ではなく、炭酸ガスが逃げれるようになっています。炭酸ガスといっしょに香りの成分も逃げていくわけです。この醗酵中の香りを吸って取り、後に加えることができれば、香り高いお酒は半人工的に作れます。ヤコマンはこうしてやっていました。静岡もほとんどの蔵にあったのは事実であります。

 香りと味のバランスが悪いのがあります。香りはとってもいいのに、味は雑味が多くて変だなあと思うこともあるでしょう。ヤコマンの可能性もあります。ヤコマンは日本酒の歴史の上で忘れてはならない言葉になりました。蔵元にはヤコマンの話はしない方が賢明であります。

 

吟醸酒の香りの正体

 香りには物質名があって当然です。吟醸酒の香りの正体は醗酵臭であります。日本酒以外の醗酵物質にも上の醗酵臭は存在しています。ワインにもビールにもウィスキーにもブランデーにもあります。しかし、これらは原料由来の香りが強く、醗酵臭は目立ちません。

 日本酒の原料は米であり、米を感じる香りもありますが、吟醸酒は米の香りをなるべく出さないようにしています。

 だから米は磨かれるのであります。逆に磨かなげれば、米の香りが生きたお酒になります。味は濃く重い方向になります。

 吟醸酒の顕著な醗酵臭は上のエステルですが、これらの言葉は使わない方が賢明でしょう。知識の浅さを見抜かれてしまいますので、御注意あれ!

 YK35は非常に有名な言葉であります。全国新酒鑑評会で金賞を取るための合い言葉でした。

 平成21年のいまでこそ、山田錦は生産量もありますが、昭和の終わり頃までは、産地指定があり、山田錦は貴重な吟醸酒向きな酒米でした。

おつまみ

 今回も毎度、薬膳料理いわとさん提供であります。私は教室では飲食できませんから、講座後に自宅で食べました。

 寝ているはずの長男が起きてきて、「何これ?美味しそうじゃん、頂戴」と取られました。

 小食が心配な子供ですので、食べたいとなれば、親としてはうれしいものです。

 「歯をもう一度磨くから。」

 卵焼きとコロッケでしょうか、瞬時になくなりました。玄米も美味しいと食べてくれました。

 私がいわとさんに頼んでいるのは、「安心」「安全」であるからが一番の理由です。

 東京ディズニーランドは夢溢れるテーマパークです。創業以来のキーワードは夢とかではなく、現実を見据えた「安心」と「安全」だそうです。繁栄には基礎である「安心」「安全」が必要充分条件でしょう。

 これを日本酒に当てはめますと、「添加物なし」「無添加」だと思います。

 ある蔵元は言いました。

 「添加物である乳酸や醸造アルコールを使う方が安全だ」と。これは健全で安定した醗酵についてのことで、飲み手の人体にとってのことではありません。世界に名立たる日本酒となるのであれば、吟醸酒の香味はそのままに、嘘のない造り方が必要となってくるのではないでしょうか。

 全体の99.9%以上の日本酒に乳酸が添加されています。
 90%くらいの日本酒に醸造アルコールが添加されています。

 これからの日本酒の歴史、近未来が見えてきそうですね。変化があるのは、飲み手にとっては面白いことであります。しっかりと日本酒啓蒙という心で接して飲んでいって下さい。

吟醸酒の歴史

 教室でも述べました。ここは知っていてほしい、重要なことのおさらいをまとめます。

第一回全国清酒品評会開催:明治40年
広島の三浦仙三郎氏が軟水醸造法を確立
秋田で花岡正庸氏が低温長期発酵法を確立
熊本の野白金一氏が野白式天窓を考案:大正
新潟で琺瑯タンクの開発:大正
熊本の野白金一氏が熊本酵母の開発:昭和
カメ壷を貯蔵タンクに使う:昭和7年
縦型精米機誕生:昭和8年

 それぞれにはそれぞれの物語があります。そういう古(いにしえ)に思いを馳せ、一杯傾けるのも乙ですね。平成21年4月からの歴史は、あなたが生き証人となります。どうか、よき語りベになっていって下さい。

5月19日  「蔵元ゲスト登場」

 静岡市駿河区は君盃酒造の親子さんに御登場いただきました。親子二人で醸す親子蔵。その親子酒を御満悦していただけた思います。日本酒蔵にもいろんなスタイルがありますね。

君盃

 SBS学苑パルシェには、今回で2回目のゲスト登場です。蔵元にも2度訪問していますから、SBS学苑パルシェとしてはお馴染みになりました。

 7種類のお酒と仕込水をお飲みいただきました。

 蔵元さんのお水は美味しいです。だから美味しいお酒ができるのですが、お水が美味しい美味しいと飲み過ぎて、お酒はあまり飲めなくなってしまったことも過去にはありました。そうなると、言い訳にも困っちゃいます。今回はそういうこともなかったですね。

 7つのお酒。これは説明しなくてもいいでよね。教室で1本づつ、君盃親子が説明してくれましたから。

 普段は乾杯もすることはありませんが、ゲストがいらっしゃるときは別。講座のスタートと共に盃を傾けます。

 そうすることにより、ゲストも受講者も早い時間から慣れてきます。ほろ酔い加減を持続させたい。このような配慮からであります。

 今復習レターは想い出レターであります。手越し付近を通りましたら、君盃を思い出して下さい。そして、いつも君盃を心にどこかにしまっておいて下さいね。

6月16日  おそばとお酒の相性研究2」

 お酒とお料理の相性研究をしてもらいました。お酒は藤枝の喜久醉、おそばはパルシェ6階のやぶ福さんにお願いしました。美味しいお酒とおそば、素敵なみなさんにより素晴らしい結果が出ました。お酒とお料理の相性研究って面白いですね。

 喜久醉を醸す青島酒造の青島孝さんにはSBS学苑の合同日本酒講座(沼津・静岡・パルシェ・浜松)にゲストでお越しいただいたことがあります。その時に、目指すこととして、おそばにあうお酒を造ると言われました。

 私はその時のことをおぼえていて、いつか講座でおそばと喜久醉の相性を探ってみようかと計画していました。そして、ついに今回実行できたわけであります。この結果は喜久醉の青島さんにも送ろうかと思います。

 喜久醉のラインナップです。喜久醉と書いて「きくよい」と読みます。

・喜久醉 普通酒
・喜久醉 特別本醸造
・喜久醉 特別純米
・喜久醉 吟醸
・喜久醉 純米吟醸
・喜久醉 大吟醸

 対するおそばはパルシェ6階のやぶ福さんのです。

 やぶ福さんは本店が北番町にあります。

 講座にあわせるように、18時45分にお持ちいただきました。

 お酒は飲用温度に変化をつけました。おそばは出来たてであります。相性研究もしやすい環境がパルシェにありますね。駅ビルの長所です。

 おそばの食べ方を指定しました。

1. おそばだけを食べる。
2. おそばにつゆをつけて食べる。

 お酒は冷や7本に加えて、燗(40゜〜42゜)も2本つけました。徳利とポットを旨く使いました。

 おそばの食べ方が2通りとお酒9アイテムの合計18通りの相性をみてもらいました。


 みなさん慎重に真剣に、しくしくと相性をみていってくれましたね。私は話し掛けてはまずいかなと、思ったくらいの真剣さでしたよ。

 それから、よく間違えることがあります。

 ・好きだから相性が良いとする。
 ・美味しいから相性が良いとする。

 相性は嗜好とは別物です!
 相性は嗅覚と味覚の化学であります。

 そのようなことも御理解いただけていたと思いました。1つ1つの診断に対するコメントが素晴らしかったです。

普通酒
 「そば」よりも「そば+つゆ」の方が相性がいいようです。これは冷やでも燗でもいえます。そして、燗をつけた方が、「そば」でも「そば+つゆ」でも相性度はアップしています。「普通酒の燗 + そば + つゆ」が抜群に相性がよいと思われます。

特別本醸造
 「そば」と「そば+つゆ」では、あまり差がなく、相性度は良いと思われます。これは特別本醸造を燗をつけてもほぼ同じ結果となりました。

特別純米
 「そば」と「そば+つゆ」では、あまり差がなく、相性度は良いと思われます。冷やと燗では冷やに軍配が上がります。

吟醸
 「そば」との相性は抜群にいいです。「そば+つゆ」との相性もいいと判断されます。

純米吟醸
 「そば」と「そば+つゆ」のポイントは変わらず、相性は良いです。

大吟醸
 「そば」と「そば+つゆ」のポイントは変わらず、相性は良いです。

相性研究結果から導かれること

 最も相性のよい組合せは次の2つでした。

1. 普通酒の燗 + そば + つゆ
2. 吟醸の冷や + そば

 この2点についてのみなさんのコメントです。

1. 普通酒の燗 + そば + つゆ について
  「普通酒の燗は味がまろやかでそばにあう」
  「そばとお酒の香りがあう」

2. 吟醸の冷や + そば について
  「お互いに邪魔されない」
  「お互いの良さを引き出す」

 また、こういった御意見もありました。
「大吟醸までくると吟醸香の高さが目立ってしまって邪魔をする」
「吟醸の香りまではOK、それ以上は×」

講師診断

 おそばは「白」と「黒」の味わいが同居しています。「白」は更級(さらしな)系で尊重される部分で、「黒」は薮(やぶ)系で尊重される部分であります。

 そばの実は黒っぽく、そば粉にするために磨いていきます。そばの実の周りの黒っぽさの特徴を出しているのが薮系のおそばであります。田舎蕎麦はもっと出しています。そばの実を磨き、黒っぽさがなくなりますと、白くなります。この白い部分の特徴を出しているのが更級系です。

 黒っぽい部分は味が濃く滋味を感じます。そばらしい香りも高いです。一方の白い部分はソーメンのようにさっぱりとしています。

 おそばを日本酒に例えますと、薮系・田舎蕎麦はお米があまり精米されていないお酒であり、更級系はお米が精米されたお酒になります。

 薮系・田舎蕎麦 → 普通酒に近い
 更級系     → 吟醸酒に近い

 今回のやぶ福さんのおそばは藪系であっても更級系の良さを持ち合わせています。

 出会ったお酒によって、どちらかに導かれていきます。

 つまり、普通酒と出会いますと、黒い部分のそばが答えます。似た者同士が共鳴しました。しかも燗をつけた方が、まろやかであわせやすいです。

 吟醸酒と出会いますと、白い部分のそばが答えます。磨かれた似た者同士が共鳴しました。

 このように無意識ではありますが、嗅覚と味覚と脳が働いた結果だと思われます。

 今回はおそばの持つ要素とお酒の持つ要素が、お互い刺激しあったような結果となりました。これはおそばと日本酒のみに限らず、すべての組合せにおいていえることであります。これからもお酒とお料理の相性研究は講座に取り入れていきます。

 冬には鰻の蒲焼きなどがいいなあと計画しています。鰻は夏をイメージさせますが、鰻屋さんからは、冬の方が脂がのっていて美味しいと教えてもらいました。

 それはともかくとして、おそばと日本酒の相性研究はよかったです。青島酒造さんの喜久醉のお酒もやぶ福さんのおそばも美味しかったから、素敵な結果となりました。

 おそばは蕎麦から作られ、お酒は米から作られます。どちらも派手な香味は持ち合わせておらず、地味な存在だと思います。シンプルゆえに奥が深いのでしょうね。永遠のテーマのようにも思います。

 次回、おそばとお酒の相性研究をする時には、その時に使うお酒の蔵元さんをゲストにお呼びして、いっしょに相性を探ってもいいですね。

7月21日(火)  「酒米」

 静岡県ではじめて生まれた酒米誉富士。ゲストに誉富士を誕生させた宮田様をお呼びしました。何しろ張本人ですからねえ。誉富士については、体に染み付いたくらいに御理解できたかと思います。

 誉富士のラインナップです。

・白隠正宗・高砂・萩の蔵・杉錦・萩錦・臥龍梅・富士錦・小夜衣

 現在発売されている誉富士から造ったお酒の半分くらいをお持ちしました。お酒についての詳細は省きます。講座で十分御堪能いただけたと思いますので。

 私は誉富士から造ったお酒を最初の年から飲んできました。まだ試作品の状態のものもありました。その時から今に共通しているのは、はずれがないことです。静岡県のお酒は他県に比べると、はずれがないことでも評価が高いです。誉富士もその一端を担っているのか、そういう蔵元が多いので、誉富士から造ったお酒もそうなるのか、はわかりませんが、いずれにしましても愛着が湧くお酒ばかりです。

 じゃじゃ馬っぽさがあるのではなく、優等生であり、貴公子のイメージ。いずれは王様や王妃のような存在になるのでしょうか?飲む人も気持ち良く、お姫様や王子様のようになりたいものですね。魔女やトラのようになったら困りものですけどね。

 誉富士を使ったお酒でお好きな1本を見つけて、ずっと追い掛けていくのも勉強になるのではないでしょうか。

生みの親

 誉富士の生みの親であります宮田様です。

 宮田様のおかけで、誉富士から造った美味しいお酒が飲めていると言っても過言ではないでしょう。

 宮田様は磐田の研究地から静岡県庁こめ室に配属になりましたので、ゲストの御登場をお願いし、実現に至りました。

 この日も県内東部の田を見て来たそうでありました。パルシェまでお越しいただきありがとうございました。

 ゲストがいらっしゃると構えがちです。終わりに近づく頃に盛り上がる。そうはならないように、宮田様には最初からみなさんといっしょになり、盃を傾けていただきました。ここが当講座のいいところであります。

 宮田様のお話を、みなさんお酒と盃からペンと紙に換えたりしながら、真剣に聞いてくれていました。講座らしくていいですねえ。講演とかでは、こうはいきませんものね。宮田様の話もはずんでまいりました。
  

 誉富士については、当日のテキストと宮田様からいただいたレジメを御覧下さい。復習レターで重複してもいけません。面白い話もありました。

 これもそうです。

 西海250号というお米は、250から「にこまる」の愛称がありました。

 では、西海187号は何と呼ばれたでしょう?

 正解は「ひとはな」でしたね。

 これは誉富士の前に奨励されそうになった酒米です。ということは、ひとはな咲かせることができなかった酒米。

 誉富士誕生の影には、哀愁もあるわけです。そう考えているだけでも、お酒が美味しくなってきますから、お酒というのは不思議な液体であります。

 誉富士について御存知でしたか?
 講座ではじめてお知りになりましたか?

 静岡県のお酒がもっともっと美味しくなるように、なるべく、いやいやできるだけ、誉富士のお酒を御指名いただき、御愛飲下さい。

 おつまみは好評の薬膳料理でした。

9月15日(火)  「燗酒」

 燗酒を御自身によりつけていただきました。燗酒はさしつさされつで飲みます。日本らしい飲み方ですね。とっても盛り上がりました。燗をつけるのは、男性が向いているのか? 女性が向いているのか?

「燗酒」

 今回の日本酒は杉錦で揃えました。

 左から、
「杉錦 特別本醸造」
「杉錦 山廃純米」
「杉錦 キモト純米吟醸」であります。

 2つのグループに分かれての燗付けでしたから、720mlを1本づつにしようかと思いましたが、1.8Lが1本と720mlが2本では、価格が一緒ですから、容量の取れる1.8Lをお持ちしました。

「さかずき」

 お酒を飲むための「さかずき」は現在は「杯」と「盃」があります。不は「あらず」の意味です。したがって、「木にあらず杯」と「皿にあらず盃」となり、古くは「石にあらず 」と書かれていました。

 石→木→皿 と文明が進化していることがわかります。

 飲兵衛はさかずきという言葉を使って、自己主張していたのですね。肩身が狭かったのかもしれません。

 ポットと燗どうこを使って、仲良く燗をつけてもらいました。

 機具の使い方に慣れることが、燗の付け方の上達にもつながっているとわかりました。

 男性の方が、熱中しているのは、この日だけではないのかもしれません。燗は男向きでしょうか。

「余熱切り」

 ポットや燗どうこの中のお湯が熱いので、徳利が余分な余熱を持ってしまいます。

 目標の温度に近づいたら、徳利に水道水を当てて、余分な熱を冷ましてもらいました。余熱切りであります。

 燗付けに関しては、男性がリードしてくれていました。

 きき酒もかなり真剣にやってもらいました。

 大いに盛り上がったのも、日本酒の燗酒だったからでしょう。日本酒の燗には他のお酒にはない、魅力があります。

 テーブルに日本酒が1本あると、そのテーブルには花が咲きます。そのお酒を燗しますと、テーブルには花が咲き乱れます。

 一杯のお酒を酌み交わすだけで、人間同士が近づく。信頼関係ができます。収穫を喜んだり、お祝い事を祝ったり、何かあればお酒が登場してきたのが、日本の文化でありました。

 日本酒低迷、しかも燗酒は忘れられた存在。この先日本はどうなるのか?このままこれまでの文化をおきざりにするのか?そんな高尚な呼び掛けもある燗の講座であります。

 これから寒くなりますから、燗の出番も多くなりそうですね。燗酒を味わうと同時に人間同士の醸成なども大いにしてほしいと思います。燗酒には鍋もあいます。鍋奉行と燗番娘で大盛り上がりとやってみたらいかがでしょう。

 今回は、
 ぬるめの燗=35゜
 温かい燗=45゜
 熱めの燗=55゜
 により燗酒の魅力を学んでいただきました。

 燗酒の合間に、冷や酒が美味しいのも日本酒ならではです。

 この場合、お水も有効です。和らぎ水と称して、酒造組合でもお酒の合間に水を飲むことをすすめています。味わいとしても、体のためを思っても、

 燗酒 + 水 = でありましょう。

 いつもの薬膳料理。サンマの煮物が大好評でした。

 煮こぼれ(煮くずれ)もしてませんでした。おかけでお酒もとっても美味しくいただけました。

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