日本酒の楽しみ方 SBS学苑パルシェ 第12期

 ●SBS学苑パルシェ校 日本酒講座 「日本酒の楽しみ方」第12期内容 2008/4〜9

日時

講議内容

使用酒

4月15日

「お酒とは?」

酒類全般から日本酒を認識してみます。

5月20日

「花酵母」

流行している花酵母の特徴を知りましょう。

6月17日

「ゲスト登場」

蔵元さんといっしょに日本酒を知りましょう。

7月15日

「酒器」

いろんな酒器でお酒を感じてみましょう。

8月19日

「発泡日本酒」

最近話題の炭酸が入った日本酒を味わいます。

9月11日

「燗酒」

ぬる燗、上燗、熱燗の違いを認識します。

4月15日(火) お酒とは?

日本酒講座を御受講おめでとうございます。
今月より新期開講。第12期目となりました。今期で丸6年をむかえます。
出会いの春。素敵な日本酒にも出会えますし、素敵なお酒の勉強仲間とも出会えました。
日本酒を勉強することで、素敵な自分とも出会えるかもしれませんね。
私もそんな素敵な出会いを手助けしたいですし、私との出会いも素敵だと・・・。

自覚

 あなたは日本酒を勉強する講座を受講されました。もう、昨日までのあなたではありません。講師の私なども含めまして、お酒を勉強する人を「酒徒」(しゅと)と呼びます。あなたも2008年4月(あるいはそれ以前)からは、一人の酒徒となったわけです。一人の酒徒として、どのような道を歩むのか?

 それは「テイスター」として極めるのでもいいですし、お酒の魅力を多くの方々に伝える「メッセンジャー」・「伝道師」でもいいわけです。

 日本酒の資格もありますから、それに向かって挑戦していくのも、またよかろうと思います。最近は諸外国でも日本酒が人気。来日される方々へ、日本酒の良さを外国語で説明なんかもできたら素晴らしいですね。

 もし私が逆の立場だっならば、ただただお酒のことをかじるとか、美味しいお酒を飲むためとか、息抜きのため、お酒仲間を作るため、なのかもしれません。

 それもいいでしょう。仕事で疲れているのに、講座に来てまでもっと疲れるなんてことは嫌ですよね。学生の塾じゃあないですもの。

 SBS学苑のこの講座は飲酒をします。つまみでは飲食店にはかなわないでしょう。しかし講座ならではの長所があると思います。

 しかし、くり返しますが、一人の酒徒ということはお忘れなく!この意識があなたを向上させてくれます。酒徒に幸あり。

お酒とは?

 第一回目のタイトルでした。あなたにとってのお酒とは?・・・

 この答えは人生経験に左右されます。でもね、ただ酔うだけのもの。現実からの逃避の助材。眠くするためだけの物。では寂しいです。

 お酒があったせいで救われたとか、お酒を飲むことが出来たために、こんないいことがあった。そんな前向きなお酒の長所を述べてほしいと思います。

 先日の講座内で、自己紹介とともに「あなたにとってお酒とは?」を述べてもらおうと思いましたが、人数的に時間がかかるので、次回に回します。簡単でいいですから、お話して下さいね。(無理でなければ)

 私、河原崎吉博にとってのお酒の講座とは?「男を磨く水」とでも申しておきましょうか。講師という立場上、いつも襟をただしていなければなりません。今期で丸6年になりますが、かなり悩んだりしてきました。そのことについては、また機会があるときなどに・・・。

 話しを戻しましょう。

 お酒とは製造方法からみてみると3つしかありません。「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」です、教室でもお話しました。酵母が糖分(単糖類)を醗酵させてアルコールと二酸化炭素にします。この時にできるお酒を醸造酒と呼びます。醸造して得られたアルコールを蒸留してできるお酒を蒸留酒と呼びます。醸造酒や蒸留酒に何か混ぜますと混成酒となります。

 よろしいですね。今度は原料からみてみると、 ・・・
 こちらも3つでしたね。講座を思い出して下さい。テキストには書いてありますので。これからは口にするお酒の製造方法と原料などを気にして下さい。

 講座で次の9種類のお酒をお飲みいただきました。

「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」に分けられますが、どれがどれかはお分かりですね。そしてその原料は?

 テーブルにグラスがずらりと並ぶと、講座らしくなります。飲食店ではこうはいかないですもんね。

 まずは乾杯からスタート。お酒は純米大吟醸の鑑評会出品酒。なにはともあれ、このお酒のイメージは忘れないように。

 お酒について書き出すと切りがないので、もう1点。牛乳を用意してありました。ゆず酎を牛乳で割ってもらいました。いかがでしたか?嗜好品の宿命で、どうしても好き嫌いはあるものです。

 柚の酸が乳化されて、固体化してきます。若干チーズっぽくなります。

 私は一口このゆず酎を飲んだ時に、牛乳割りで飲みたいと実感しました。

 そして、前回ゆず酎を出した時に、チーズとあわせるとヨーグルトのような感じになるねとの感想をいただきました。

 このことはチーズによってこのお酒は牛乳割りが合うとの仮説も作られたわけでした。それが今回もお持ちした理由のひとつであります。

 チーズ + ゆず酎 → ヨーグルト

 この感覚は素晴らしいです。

 料理に隠し味を使いますが、これも同様な理由からです。ある時に隠し味が表面化して、その良さがわかるのであります。

 それから肝心なのは、ある物とある物とが合わさると、違うものが生まれる。これがお酒とお料理の相性では重要なことであります。

お酒とお料理との相性

 いろんなお酒を味わい確かめながら、簡単おつまみとの相性をみてもらいました。

「枝豆とビール」
「赤ワインとチーズ」
「日本酒とチーズ+ハチミツ」
「日本酒と漬け物」
「白ワインとチョコレート」

 教室では時間がなくなってしまい、結論まで進めませんでした。ちょっとふれてみます。

「枝豆とビール」

 もう文句なしの好相性!お豆の味と麦を焦がしたロースト香のビールとピッタリ。

 枝豆だけでも塩味が心地良いですが、ビールがそれを流し込み、口中をリセットします。その後塩味が恋しくなり枝豆に手が出る。このくり返しをずっとしてしまうほどに美味しい組合せ。酒類に塩分がないことも、枝豆にとって味覚上バランスが向上します。枝豆だけでなく、カッパえびせんやポテトチップにもこのことが言えましょう。お酒が美味しくなる相性です。

 

「赤ワインとチーズ」

 その土地の醗酵食品と醗酵飲料は相性がいいという典型的な組合せ。赤ワインに感じられる牧場の匂いは、葡萄の根から吸収した水に含まれると思われます。この匂いがチーズにもあり、香りの同系として相性がいいです。

 赤ワインは口の中で噛んでいますと、ねっとりした感触があります。西洋人は特に気に入る感覚で、これもチーズの感触に通じるものがあります。

 

「日本酒とチーズ+ハチミツ」

 日本酒はワインよりもチーズとの相性がよいのではと評判です。日本酒もチーズも醗酵食品同士。日本酒の中には乳製品を思わせる香りがあります。はっきり感じられるものもあれば、そうでないものもあります。ここらが日本酒がチーズにあう理由。ホワイトソースやクリームシチューなどにも乳製品の香りが強い純米酒は特にあいます。

 ここで以外かもしれませんが、ハチミツを使いました。

 ハチミツは果糖の甘さと粗糖のような香りがする食物です。この独特の粗糖の香りは日本人が発見し名付けられました。粗糖から取って、ソトロンと呼びます。

 日本酒にもソトロンの香りはあります。最初からあるのではなく、ついてきます。熟成によるものであります。

 はっきりとした感覚はなくとも、体がハチミツと日本酒の共通する香りを認識し、相性をよくしてくれます。

 日本酒は甘味と旨味が特徴であります。日本酒の甘味とハチミツの甘味も通じていますね。

「日本酒と漬け物」

 これも伝統的な日本の醗酵食品同士です。

 日本酒にない塩味が漬け物にあり、お酒も漬け物も美味しくなります。基本的にごはんの上にかけて食べるものは日本酒にも合います。どの日本酒かは選びますが。

 

「白ワインとチョコレート」

 意外な組合せと申し上げてよかろうと思います。この頃はコンビニやスーパーなどお菓子を売っているお店でもお酒を販売しています。メーカー同士のコラボ色が強く、販売上の仕掛を感じてしまいますが、相性研究としては、ズバッと斬ることができます。

 講座が終わり帰宅し、私も実際に相性を確かめてみました。

 チョコレートはカカオ豆から作られますが、カカオ豆の成分に糖分と脂肪分が加わっています。稀に100%カカオ使用の他のものを加えていない商品もあります。

 したがって、一般的なチョコレートの要素としては、カカオ独特の風味のするポリフェノールに甘味の糖分と旨味の脂肪分を足した物と考えられます。極端にすれば、大量のポリフェノールと糖であります。これがチョコレートの正体。

 このポリフェノールと糖の物体であるチョコレートを飲料に合わせる場合は、ポリフェノールと糖が飲料のどのような成分と、どうかかわっていくかに着目すればいいわけです。

 ポリフェノールと糖は「苦味」と「甘味」に置き換えましょう。

 相手方であるジェイコブズの白ワインはシャルドネという品種から造られた辛口です。このワインを単純にすると「ワイン独特の風味 + 甘味 + 酸味 + アルコール」、そしてバランスは「甘味 < 酸味」となります。

 白桃とか梨、そしてレモンやグレープフルーツのようです。 ここにチョコレートの甘味と苦味が出会いますと、チョコレートの甘味が強いためにワインの甘味が相殺されます。

 さらにチョコレートの甘味はワインの酸味とバランスを取るように口中では作用します。ワインの酸味が少なくなる、つまり減酸効果があります。

 チョコレートの苦味は、これらの甘味と酸味に圧倒されて、存在感は薄れます。

 つまり、両方の個性が打ち消し合い、チョコレートもワインも個性を減らした、ぼけたものとなります。

 チョコレートだけで食べた方が、チョコレートらしくて美味しい、またワインだけで飲んでいた方がワインらしくて美味しいと感じるのではないでしょうか?

 白ワインの酸味が気になる方は、チョコレートによって酸味がぼけますから、好き嫌いからしてみれば、良くなるとお感じになることでしょう。これを減酸効果と捉えることも出来ますが、それを狙うならば、今回のチョコレートではなくって、他の何かの方がよいとも思われます。

 ジェイコブズの白とロッテガーナミルクチョコレートの相性は、チョコレートの甘さがワインの酸を包み込んで、どちらの個性も打ち消したぼけた味になります。

 しかし、勉強になったのは、チョコレートが甘味と苦味という、比較的単純な成分が主であり、大量ということで、相性診断する相手方への作用がわかりやすいということです。複雑に絡まりあうのではありません。したがって、「香りと味の足し算・引き算」という面ではわかりやすい食物であります。

 白ワインすべてが合わないのではありません。合う白ワインも赤ワインもあります。ジエイコブズを使った理由は、当講座としての基本ワインをこれに固定化しているからです。

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 ぶつぶつと書いてしまいました。白ワインとチョコレートについてはあまり気になさらないで下さい。

 

 当講座では相性の良し悪しを◎○△×として表わしています。

 ◎:調和
   お酒とお料理で第三の素敵な香味が生まれた場合や、すこぶる相性がいいと感じる場合。

 ○:調和まではいかないが、まあまあではないかなと感じる場合。
   すっきりさせるリセット効果もここに入ります。

 △:平行
   それぞれが主張して混じりあわない場合や、相性がいまいちと感じる場合。

 ×:反発
   出会わなければよかった相性。

 判断基準のポイントは個人的な好き嫌いではないということです。

5月20日(火) 花酵母のお酒

春風爽やかな五月の夕方。
日本酒講座も花爛漫。
花酵母のお酒に囲まれました。
珍しくどこからともなく蠅も飛んできました。
さぞ美味しい予感がしていたのでしょうか。
花は信じて咲いてくるから美しい。
花酵母のお酒はどうでしたか?

醸造酒

 アルコールはどこからやって来るのか。それは酵母が糖分を醗酵させて作られます。酵母以外にアルコール醗酵する生物はいないと言われ続けてきました。ところが他にもいたのです。とある中国の山奥の村。ここでもお酒があり、その製造方法があまりに他の酒類から離れているので、嘘だと学者は決めつけていたそうです。実際に現地に訪れ、酵母菌以外にお酒を作れる生物の確認をしました。それを京都に持ち込んで研究がすすんでいるとは聞いています。これはあくまで例外的なこととし、アルコールを作るのは酵母ということで、話をすすめていきます。

 醸造酒のビック3は「ワイン」「ビール」「日本酒」であります。

 ワイン」

 葡萄が原料です。葡萄果汁には甘い単糖類がたくさんあり、酵母がこれを醗酵させるだけでアルコールは生成されます。これを単醗酵と言います。

 「ビール」

ビールは麦とホップが原料ですが、ホップはアルコール醗酵には関与していません。麦は多糖類なため、酵母が食べれません。単糖類にする必要があります。ではどうやって?

 麦をある程度の湿度と温度の状態に置きますと発芽します。同時に根も出てきます。芽の中には麦自体を糖化する酵素を含んでいます。根にはそれがありません。根は食物繊維であります。ビールにとっては雑味になる原因となるために除去しなければなりません。そこで熱を加えて根を枯らし、除去します。コーヒーのように培煎しますと、根は麦本体からはずれます。芽のついた麦(この状態を麦芽とも言います)をコーヒー豆も粉砕するときに使うミルで細かくします。

 これを62゜くらいのお湯の中にしばらくつけておきますと、糖化されます。これを搾り(ビールの世界では濾過と呼ぶ)糖化された黄色〜茶色の液体が得られます。これを煮詰めれば麦芽糖となります。冷ました糖化液に酵母を加えますと醗酵がはじまり、美味しいビールの誕生となるわけです。

 ちなみにビールが造られる時に生じる炭酸ガスは、醗酵中に集められ、瓶詰めつれる直前にビールに戻されます。これが大手のビールであり、地ビールによくある酵母入の場合は、瓶内で炭酸ガスを造らせるようにしています。このようにビールは麦芽酵素による糖化と、酵母による醗酵が別々に行なわれます。これを単行複醗酵と呼びます。

 「日本酒」

 日本酒の原料は米であります。ビールの原料の麦と同じ穀物でありデンプン質です。これも多糖類ですから酵母が直接食べれません。麦芽のように米の芽には糖化酵素がありませんからどうしましょう。

 日本酒の場合は麹菌というカビを米に植え付けます。実際には振り付けています。麹菌が米の中に侵入して繁殖します。この状態を麹と呼びます。麹には糖化酵素がありますから、米を糖化させれることかでき、糖化された米を酵母が食べることができます。

 日本酒の醗酵タンクの中には米、米麹、酵母、水が混ざっています。この中では麹の酵素が米を糖化させることと、糖化された糖分を酵母がアルコールと炭酸ガスに変える醗酵とが、行なわれています。糖化と醗酵がいっしょに行なわれているために、日本酒の醗酵形式は並行複醗酵と呼ばれます。

 製造者である蔵人たちは糖化の進行状況と醗酵の進行状況を同時にみなければならないために、他の酒類にないレベルの高い技術が要求されます。

 日本酒の商品特性のひとつとして「日本酒は製造技術について、世界的に非常に高いレベルを必要とされる飲料」とお考え下さい。製造に関しては、製造現場を訪れるほどに理解が深まります。蔵元見学講座も御利用いただければと思います。

 私も製造についてよく知りたいとの一心から、日本酒の蔵元には5年通いました。製造期間中は休みなく毎日早朝から仲間入りさせてもらっていました。

 おかげで純米吟醸を君盃酒造から3年、純米大吟醸を忠正から2年、2000年には21世紀祝い酒用としての発泡日本酒も世に出すことができました。

 兵庫県の特A産地に出向き、田植えも刈り取りもしましたし、静岡では何回そのようなことをしたか、数え切れません。

 日本酒は「大器晩成」と「YOROSIKU」を発売できました。「大器晩成」については、醗酵タンクの備え付けから、冷蔵装置も自分の小遣いで購入したくらいです。登録商標も取りましたから、100万円くらいは、あっという間に消えました。この銘柄だけで、毎月の銀行への返済は20万円でしたから、いまから思えば無鉄砲。若さですね。手元に資金ないのに、やっちゃいました。返済は売上でカバーしなくては。毎週金曜日はムーンライトながらを利用して、東京方面に営業に繰り出していました。

 その後は無理がたたって病気になり、ドクターストップ。やむを得なく製造は終えています。

 大器晩成は手元に720mlが2本あります。平成7年製造と8年製造ものです。二人の娘の結婚式に1本づつ飲めればと願い、今も冷蔵庫に待機しています。

 この当時は7つ年下のハーフっぽい美人の娘さんと付き合っていて、結婚も考えていたものですから、結納に向けて、真珠のネックレス、指輪、イヤリングを月賦で買いました。80万円もしたので、4年間のローンです。

 しかしこともあろうに、その娘さんには逃げられました。その後私は結婚をしたのですが、ローンは終わっておらず、妻からは・・・。

 それはそうですよ。妻には1万円くらいの指輪しか買ってないのですから。前の彼女へのためのローンをいっしょに払ってもらいました。以上は私のケースですが、お酒にはまるという点については、気をつけましょう。

きき酒

 今回からスタートしたきき酒。6本のお酒の中に2本同じのがありました。17人中正解は10名くらいでした。立派です。予想をはるかに上回る正解率。このクラスは期待できそうですぞ。6月はゲストがいらっしゃるので、きき酒はしませんが、7月からはまたはじめますから、楽しみにしていて下さい。当たると子供のようにうれしいものです。はずれたって、別にどうのこうのもないですしね。

 講座継続者に正解者が多かったですから、参考にいろいろ聞いてみてはいかがでしょう?講座は20時に終わりますが、そこから復習ははじまります。継続者の方々を中心として、繰り出しているようですよ。講座のない日にも、いろんなおつき合いがあるようですから、みなさんで誘いあって下さいね。私は車で来ていますから、参加できずにすいません。

 きき酒も自転車と同じ。一度コツをつかめばしめたもの。きき酒にも成長曲線があり、ある時に急に上手になります。ここの分岐点までいけるかどうかがポイントでしょう。

花酵母

 通常の酵母は協会何号とか、静岡酵母の何々とか、優良酵母が配付されます。

 パン酵母などは天然酵母を使うお店も多いです。御主人が野山を駆け回って、酵母を採取して固定化することもあります。花酵母もこの感覚に近いものがあります。自然の中に、まだ発見されていない優良酵母があるのではないかとの発想は誰でもしがち。

 酵母の住まいはある程度湿った落ち葉の裏側との説があります。どこにでもいそうでいないのが優良酵母。

 花に着目したわけです。果実には大量に酵母がついていますが、これはワイン向きだとの判断。納得もできそうです。数々の花から酵母はいないかと、実験を重ねて、実用化できているのが、今回の花酵母たち。研究者によれば、桜酵母が一番苦労されたようです。

 今回は180mlの小瓶を選びました。種類の豊富さを目的としたからです。小瓶独特のリスクがあります。品質管理が難しいです。大きな入れ物から、詰め替える率が多いし、お酒に対して空気の割合も多いので、酸化の危険もふくらみます。

 12種類の花酵母のお酒を嗜んでいただきました。2つのグループに分かれて、6つづつコメント作成をしてもらいました。素敵なコメントにまとまりましたね。それぞれを再認識していきましょう。

1.桜の花酵母
 辛い/甘い
 花というより茎の感じがする。
 喉越しはいい。

2.牡丹の花酵母
 飲みやすい。
 甘い香り。
 さっぱりしているが、面白みに欠ける。

3.ベゴニアの花酵母
 酸味あり?
 さっぱり感。
 メイプルシロップの香りがあるが、味にはない。

4.なでしこの花酵母
 とても甘口。
 味に重みがない。
 渋味がない。
 ライトテイスト。

5.コスモスの花酵母
 癖がない。
 味はなでしこと似ているが、甘味はない。

6.ひまわりの花酵母
 とてもさっぱりしている。
 好みが分かれる。
 牧草の匂い?がする。

7.日々草の花酵母
 ハチミツのような甘い香り。
 若葉のような爽やかな香り。
 最後はスッキリキレがよい。

8.しゃくなげの花酵母
 最初はさわやかな香り。
 キレの良さもある。

9.つるばらの花酵母
 口の中で香りが膨らみ、心地良い。
 甘い口当たりと香りのバランスが取れている。
 キレもよいが、嫌みもない。余韻がある。

10.月下美人の花酵母
 香り高いリンゴのイメージ。
 上あごにくる香りのアタックが印象的。

11.アベリアの花酵母
 イチゴやリンゴの香り。
 甘さ、香り共に濃いがバランスが取れている。

12.おしろい花の花酵母
 香りはおとなしいイメージ。
 その分、口に含むと旨味を感じやすい。

 この後から協会9号酵母から造られたお酒を味見してもらいました。花酵母とどっちが好き?との問いには半数近くの方が手を上げられました。

 みなさんで同じお酒を飲みますと、お酒が嗜好品だとよくわかります。

 間違いはありません。わかりやすいかどうかはございます。そしてできれば、外見・香り・味・総合的の順に書かれるともっといいです。7月にきき酒のフォーマットをお持ちしますね。

 つまみはすべて富士宮市にあります「富士ミルクランド」で購入しました。放牧している牛から取れる牛乳から作ったチーズがメインであります。

 私はテーマをわさびとしました。「長芋ワサビ風味」「チーズちくわ」「チーズちくわワサビ味」「お刺身チーズ」であります。わさびの味付けがなされていないものも、わさびを加えられますから、チューブではありますが、わさびとそれにあいますように醤油と鰹節をお持ちしました。

6月17日(火) ゲスト日本盛

 灘から日本盛さんがお目見えしました。しかも2名様であります。社長室から特別な1本も御用意いただきました。出会いとは素晴らしいですね。お酒も人も。ほろ酔い気分がより盛り上げてくれます。

灘のお酒

 白鷹さんに続いて、灘からは2蔵目となりました。どうして灘からゲストとして呼ぶのか?それは日本酒の勉強として、灘酒を無視して通れないからであります。灘は江戸時代に一世風靡しました。平家でなければ人にあらず。如く、灘は銘酒の代名詞でありました。

 昨今は地産地消の流れからも、数々の地域ブランドが生まれています。仕掛があって、半ば無理にでも生んでいるという方が正解なくらいです。それが江戸時代に地域としてブランド化していたのですから、さぞかしダントツでNO.1だったことでしょう。

 酒蔵はオーナー会社が多く、また土地と人に酒造免許が与えられているために、昔からのポリシーを持ち続けている蔵が多いです。合併も極めて少ない業種の1つです。

 お酒の原料である水は、基本的には蔵にある水を使います。この水は根本的には江戸時代前からも変わっていないことでしょう。これらから、お酒にはその土地の歴史と風土が凝縮されています。

 冒頭で、今日のポイントを申し上げました。

1.なぜ日本盛は売り上げ全国5位なのか?
2.なぜ日本盛は静岡でNO.1のシェアなのか?

 これらを理解するには、日本盛のお酒を飲み、自分としては「美味しいか」あるいは「不向きか」ということを観点としていては、何も見えてきません。お酒は「飲む」「嗜む」「きく」と言います。みかけ上はどれも同じ動作でしょうが、中身は違いますね。せっかくの日本酒講座御参加なのですから、「飲む」では寂しいわけですよ。せめて「嗜む」。さらに「きく」のですよ。きいてはじめて自分の感性が上がりつつあります。この講座で酔って感性まで上がるなんて、なんて素敵なこと。

 日本酒講座に対して、「自分の好きな日本酒をみつける」「たくさんの日本酒を知る」という目標も素晴らしいのですが、あなた御自身の感性を磨くことも、より素敵なあなたとなることでしょう。人間幅がある方がいいですもんね。ごめんなさいね。わたしみたいな者がこんなことを申し上げて。

 目の前の日本酒は商品であります。誰かが美味しいと思って消費しています。そのお酒が美味しいと感じたときには、その良さは何かなあと自問自答すれば、答えは得やすいです。

 しかし、このお酒は好きではないということになった時には、どうしてこんなお酒を好きこのんで飲む人がいるのだろう、などと考えていては、感性などあがるはずはありません。

 どうしたら、このお酒を美味しく飲めるのだろうかということが、自己啓発の出発点でもあります。別に嫌なお酒を無理矢理に好きになるということではありません。そのお酒を飲む人の心が読み取れなければ、そのお酒の心なんて、到底察することはできないでしょう。これは一人一人の人生にも似ています。私は講師の立場で、お酒を「きく」ということをしてほしいなあと、いつもいつも感じています。

灘酒は昔の酒としての存在価値だけではありません!
真骨頂は知る人ぞ知る奥深いところにあるのです。

 奥深い故に、美味しいお酒を見つけるとか、蔵元のお祭りになどに参加していただけでは、掴めません。

 つまり、「造り手」「売り手」「飲み手」の関係、簡単に言えば、お客さん扱いされていたのでは、突っ込んだ勉強にはならないということであります。でもお酒で食べていくわけでもないですし、楽しみですもんね。この点、言い過ぎましたね。私としては、旅行を兼ねてでも蔵元に出向き、風土を感じてほしいと思います。ただ、そこで単なる飲み手で終わってほしくないということであります。前にも書きましたが、我々は「酒徒」であります。これからも素敵で酒徒らしい振るまいをしていてください。17日の教室のみなさんは酒徒らしかったですよ。

 では講座を振り返ってみましょう。

 今回は荷物も13個ありました。過去最大量でした。

 当日は準備にも時間がかかりましたし、日本盛さんとは、5回くらい打ち合わせしてありました。もう1時間ほしいところでした。

 お酒についても厳選して9酒としました。豊富なラインナップでしょっ。

 これで教材費が1,680円ですからねえ。

 つまみも日本盛さんらの御希望により、静岡特産の「静岡おでん」「カツオの生姜煮」「白菜の漬け物」にしてみました。

 カツオの生姜煮は私の母にお願いして作ってもらいましたが、好評でしたから、安心したと同時にうれしかったです。

 乾杯は社長室部長の助野さんにお願いしました。

 助野さんはきき酒師でもあり、その上の酒匠の資格も取得されているだけあって、お酒についての様々なことを御教授いただきました。

 助野さんが酒学について語る一方で、静岡支店長の鈴木さんはみなさんの質問に親切にお答えてくださっていました。

 対照的なお二人のようで、実は裏打ちされた態度であったなあと思いました。さすが関西人ですよ。サービスの仕方、喜ばせ方がわかってらっしゃる。

 お二人とも名コンビでした。中々関西人以外では、こういう風にはいかないでしょうねえ。

 さて、日本盛の御賞味いただきましたお酒についてであります。

・惣花
 宮内庁御用達酒のひとつで、中でも使われる確率は60%を誇ります。元々は一般化されていなかったのを宮内庁が許して、こうして飲めたわけです。いかがでしたか?蔵元としては、香り高い鑑評会出品酒も納めることができますが、あえてこの香味としているのです。その造り手の心はどこにあるのでしょう。古い文献には、搾ったばかりの生酒がいいとは出て来ずに、ある程度熟成した方が美味と出てくることが多いようです。

・上撰
 スタンダートの上級酒としての位置付けです。旧1級であります。次の晩酌と比べると、よくわかると思います。

・晩酌
 売り上げ第5位の日本盛の中でも、一番売れているお酒がこれです。アルコール度が低いですね。パック酒のアルコール度は13゜〜14゜が最も多いです。これはあえてこのようにしているのです。香りはヨーグルトとか柔らかいごはんのようで、味わい的には薄いですね。これがどうして売れるのか?「安いから」「この味が受けているから」「パック入りだから」「大量陳列されて、買いやすい位置にある」この4点が中心でありましょう。

 ああそうか。 ・・・・・・・  ではだめなんです。

 私は次のように考えます。
「55゜くらいの熱燗の時に一番美味しい。」
 温かいごはんのような香りになり、冷やでは 感じなかった辛さが冴えてくる。甘酸のバランスが調和する。アルコール度が低いことが熱でマスキングされる。アルコール度が低いので、量的に飲め、飲んだ気にさせてくれる。このようなことを狙って造られているのではないでしょうか。

 みなさんの中には上撰から晩酌に移ったら、このスッキリ感がいいとおっしゃる方もいました。
 晩酌の燗を飲んでみて、やはり前の上撰の燗がいいと、お代りしてくれた方が3名いました。しかもお代りは1度だけではなく、2回も3回もでした。このことから、やはり上撰の存在価値が読み取れます。

 上撰は現在造られている日本酒の平均的な数値をとっています。これは日本酒度と酸味であります。甘辛度のようなものです。それで香りはフルーティーではありません。飲み手の中には、このフルーティーさをいらないと感じる方が多いです。麹っぽいと表現する方もいます。くどいわけですね。いっしょに生活する人が、いつも香水をつけてそばにいられたら、いくら美人でいい香りでも、ちょっと遠慮してもらいたくなりますもんね。つまり日本盛の上撰は普段着の中でもちょっといいものとしての存在でありましょう。

・特別本醸造
・やらざあ

 2つ比較してもらうようにお注ぎしました。やらざあの方がコクがあることにお気付きいただけたと思います。ザラザラとした感触もあったかと思います。これらは典型的な食中酒であり、食べ物と出会ったときに、その個性を発揮することとも思われます。提供しましたおつまみとお酒によって、より美味しい時間となったのでしょうか。

・新鮮生貯蔵
・吟醸しぼりたて
 これらは冷やして冴えるお酒でした。冷やして締まった味口がいいところ。しかも食中酒向きです。新鮮生貯蔵はアルコール度が低くしてあり、グイグイ進みやすくしてあります。吟醸しぼりたては、しぼりたての香りは抑えてありますから、吟醸酒かなあ?と思ってしまいますが、ここが味吟醸であります。一般的な香り高い吟醸酒から香りを取ったらどうなるのか。想像するのが怖いくらいです。その点、日本盛は香りはなくとも、米を磨いたことによるすっきりした、食事とともに飲めるお酒を造っているのでは、ないでしょうか。一般的な吟醸酒のアルコール度は16゜〜17゜にしてあります。アルコールの中に香りが入っているために、アルコール度は高めにしてあります。鑑評会出品酒もほとんどが原酒でありますから、アルコール度は18゜以上です。日本盛の吟醸酒は14゜〜15゜と低めです。ここにプライドと飲み手への親切感があるのではないでしょうか。

・雑候屋甚兵衛
 日本盛の最高級品と位置する純米大吟醸です。桐の箱に入った見かけもたいそうな品。贈答用でしょうね。これは12月だけの販売ですから、当初は使うことを断られましたが、そこは社長室部長ですね。社長用の1本を回してくれました。私は味見することができませんでしたから、何とも言えません。御感想を待つばかりであります。ただし想像はできます。

 香りは原料である米と野菜を煮込んだ匂いがしたのではないでしょうか。

 口に入れた時に広がる感触。そして艶。

 この辺に品格があるのではと想像してしまいました。このお酒はグラスに注いでしばらく待ってから、飲んだ方がいいのではとも思いました。

 しぼんでいた、いろいろな香味が花開くように登場したことでしょう。最初から感じていた苦味が、最後にアクセントとして感じられる。

 みなさんいいですねえ。こんな滅多にない味吟醸を堪能できて。

・SION
 最後の9酒目は黒米のお酒でした。リキュール的な甘いお酒。これをグレープフルーツで割ってみました。甘味と酸味を混ぜたわけですよ。

 いかがでしたか?
 お帰りの1杯にはよかったのではないでしょうか。

 今日のテーマについてはいかがだったでしょうか?
 来期もゲストをお呼びする計画もあります。御期待下さいね。

7月15日(火) 酒器

 酒器・・・他愛ない物かもしれません。でも人の品格や人生にまでも影響する。それはお酒も器も人間が作った文化だからです。最適な飲酒シーンを想像することも酒徒には必要なのです。

 みなさんには御自身が使っている酒器を御持参いただきました。同じものがなかったですね。それぞの酒器には愛着があるでしょうし、それが魂みたいに宿って、酒器に入ったお酒には、あなたの人生が映っていることでしょう。

 お酒はよく銘柄で飲むと言われます。ブランド志向ですね。ファッションであります。

 言わせて下さい。  ”ファッションよりスタイルが大事”

 このことがわかれば、もう人気銘柄に振り回されません。あなたの飲酒スタイルを育てれば、それはあなた御自身の美学にもつながるのではないでしょうか。その上で、酒器は欠かせないものですね。

 残念ながら、教室では数々の酒器を使うことが出来ません。ですから酒器の講座であっても、いつものワイングラスのような「ジャパナマグラス」を使いました。これは、昭和の終わりくらいに酒造組合中央会が企画し委託製造しました。

 当時はお酒といったら燗が普通。それでは消費量が伸びないということで、冷酒のキャンペーンをしていました。若者や他のお酒を飲む人々を日本酒に振り向かせたかったからです。

 生酒専用の「ジャパナマグラス」と生酒、特に寒作り新酒は大々的に宣伝もしました。その効果はあったのでしょう。今では燗が廃れて、冷たすぎる温度で飲まれています。ですから、これからはモダンな燗の酒器の開発をしなくてはいけないことでしょう。

 このように酒器の影響は無意識にも広がっています。「ジャパナマグラス」はjapa-namaの文字が印刷されなくなり、名称をザ・グラスとなりました。

 私が持っていった酒器です。私の場合は、職業上の理由で、遊び心のあるものよりは、テイスティングなどに使うものが多くなります。

 1本、いや1杯のお酒と戯れて遊ぶ前にすべきことがあります。それは品質評価であり、きき酒であります。お酒に心を奪われないように、平常心でいられるような、つまらない酒器で慎重にお酒と接します。悪い言い方をすれば、お酒を見下しますということです。

 この見下すという意識付けは大変重要であります。講座の最初にきき酒をしてもらっていますが、この時の精神状態は正に見下すということです。ここがポイント。美味しいなんて、心を奪われたら、真っ当な評価は難しいですよ。偉そうに悪い部分を見つけて指摘する。これもきき酒のポイントであります。

 ただし、きき酒といっても、誰かにそのお酒をおすすめする場合は違ってきます。おすすめしたいお酒は世界で一番素敵である。大好きで悪いところなど一つもない。とにかく長所を探し出して、美麗絶句に近い表現をする。これがいわゆるセールストークでのポイントであります。

酒器選び

 どんな酒器を購入すべきか?遊びか、実用的かに分かれます。ここでは実用をテーマに述べてみましょう。

 本来テイスティングやきき酒はお酒の品質を見極めるためにあります。酒器はそのお酒の邪魔をしないことが義務であります。影の存在であって、気がきいてなくてはいけません。

 青みがかったソーダガラスではなく、クリスタルグラスがいいですし、お酒とあなたの距離を最も近付ける薄いことも必要です。

 大きさや形状も意味があります。グラスに注がれたお酒はグラスのどこにふれて底部まで落ち、その後はどういう軌跡をたどるか。グラスの底が丸いのと、角張っているのでは意味が違います。

 グラスの中のお酒からは香りが立ち上がります。香りを開放的に放つか、あるいは上部で集めて、そこに鼻をもっていくか。

 様々な要素があります。このような基本的なことは、ワインとワイングラスをみるとわかります。日本酒よりもワインの方が進んでいます。これは香りの高い吟醸酒が一般普及してから、そんなに時間が経っていないからです。

 日本酒を冷やして飲むことが習慣になってまだ30年そこそこ。一方ワインは各地に伝統的な材質や形状のグラスが存在しています。

 ちょっとワインに寄り道しましょう。フランスワインの2大産地にボルドーとブルゴーニュがあります。それぞれのワインに合うグラスは次のように言われます。

ボルドー   白=小風船型  赤=大樽型
ブルゴーニュ 白=小樽型   赤=大風船型

 ボルドータイプは口の狭さはより香りを強調し、ゆっくりと口に運ぶ熟成したタイプのワインにあう。ブルゴーニュタイプの広がった口は、フルーティーで軽いタイプのワインにより相性がよいグラスです。

 ボルドーの赤ワインは色に独自性があり、眼で楽しむ。ブルゴーニュの赤ワインは香りが素晴らしく、鼻で楽しむという趣旨である、それで、ボルドーの赤を飲むグラスとブルゴーニュの赤を飲むグラスは形体が違う。

 ボルドーの赤ワイン用グラスは広めのゆったりした上辺と底が同じ面積の円筒形のグラスで、均質的に色を楽しめる形になっているが、ブルゴーニュのそれは香りを閉じ込めるチューリップ型をしていて、鼻をその中に突き入れて、よく匂いを嗅ぐことが出来る構造になっている。ボルドーの赤を大型風船に入れると、あの気品のある香味がバラけてしまう。また、大樽型にブルゴーニュの赤はギスギスとした味がでて、何か釈然としません。やはり、伝統のグラスはダテではないという結論に至ります。

 上に書きました4つのお酒と4つのグラスで一度体験されるといいのですが。講座では教材費の関係で無理そうです。

 日本酒も各地で香味特性を持つようになり、その酒質にあった伝統的な酒器ができればいいなあと思います。

 さて、講座に戻りましょう。

 本題に入る前に、1つのお酒を飲んでもらいました。火落ちしているお酒でした。

 一度も火入れ殺菌されていない生酒は冷蔵庫保存が当たり前です。これを夏のような暑い場所に置いておけば、お酒の中に生きている菌が活動をはじめます。

 アルコールの中では生きている菌は稀ですが、お酒好きな菌もいます。これが活動をはじめますと、お酒がクモの巣を張ったように白く濁ります。この状態を火落ちと呼びます。火落ちは通称火落ち菌という乳酸菌の一種の仕業です。火落ちし始めるとお酒は好まれない味わいに変化します。劣化であります。しかし、火落ち菌の活動も終わって落ち付きますと、香味は変化して、樽に入れてあった白ワイン風になります。このような香りを木が様臭(きがようしゅう)と呼びます。ここまで来ますと、好みと判断されることもあります。

 生酒は冷蔵保存していても香味は変わります。生は変化が早いです。熟成も進みます。生酒を冷蔵庫に入れて時間が経ちますと、枯れた感じになります。まったりもしてきます。秋の味覚にはあいそうではありますが、きき酒用語としては、生老ね(なまひね)と称します。

 生の風味は活かすけど、生老ねは避けたいために、一度だけ火入れする場合があります。それが「生貯蔵」と「生詰め」です。この詳細は別の機会にお話します。いずれにしても、生酒は気をつける、面倒を見てあげることです。

 講座では8本のお酒をブラインドでお飲みいただき、それぞれにあいそうな酒器を選んでいただき、その理由もお話してもらいました。そのことについてはよろしいですね。

 酒器をどうするかは、基本こそありますが、絶対ではありません。あなたの感性にゆだねなくてはなりません。

 ブラインドで銘柄がわかりませんでした。お知らせします。

「1. 高砂 純米大吟醸静岡県清酒鑑評会出品酒」「2. 日本盛 吟醸しぼりたて」「3. 萩の鶴 純米」「4. 君盃 冷撰夏酒」「5. 南部美人 木桶仕込み」「6. 高砂 楽(本醸造)」「7. 日本盛 特別本醸造」「8. 国盛 にごり酒」

 お酒を飲む時には、酒器も選ぶ。そんな時間を持てる生活をしたいものです。

8月19日(火) 発泡日本酒

 日本の夏は暑すぎる。この日も35゜近辺まで上がりました。こうなると欲するのはさわやかテイスティー、I feel 〜〜。炭酸飲料が代表選手。炭酸飲料に酒の精が入った発泡日本酒の登場とあいなりました。

 炭酸 日本においては、サイダーやコーラの普及とともに炭酸飲料に親しくなってきていると思われます。糖分に酸が加わると美味しい。ショ糖、果糖、ぶどう糖などの糖類にリンゴ酸、クエン酸などと炭酸が加わり、それが冷えている状態で飲めば味覚上は美味しいとなります。

 糖+酸+炭酸+低温=美味しい

  炭酸飲料には必ず泡があります。液体に解けていた炭酸が栓を抜くことで、加圧から放たれ気体になります。液体よりも軽いので、グラスの表面に浮いてきます。炭酸飲料はアルコールのあるなしに限らず、この泡で生まれや育ちがわかるものです。

 泡で生まれや育ち(価値)がわかる。

 これが一つのテーマでありました。したがって、コーラとビールとスパークリングワインも登場させたわけであります。

 泡を見ていきましょう。

 コーラ
 グラスに注がれますと一斉に液面に向かいます。一部はグラスの壁にあたって、そのままこびりつくものもあります。放たれて制御されなくなったガス圧と容器の形と容量に応じた泡であります。栓を抜いて注いだ時には泡の勢いはよいですが、それ以降は静かになります。泡は一律でなく、大きいです。

 ビール
 コーラとは違って、泡がグラスの蓋の役割をしています。ホップが入っているからであります。この泡もじっくり見ますと、最初は大きな泡を見かけます。これはベルギーなどでは蛙の卵と言って嫌います。グラスから溢れさせて、最初に出てくる蛙の卵を追い出すように、グラスの上の泡を切り落とします。細かいクリーミーな泡が残ります。

 また、輸入物のバドワイザーやクアーズを見て下さい。他のビールと比べると泡は大きいです。これはコーラと同様の製法であるからです。濃縮のビールを炭酸水で割ってボトリング。距離的な経済的な不利を製法でカバーしています。

 思い出して下さい。この手のビールは透明瓶に入っています。栓を開けたら、グラスに移さずそのまま口つけで飲みます。そうすれば、泡の良し悪しもわからず文句もでません。上手なキャンペーンをしたものです。メキシコのコロナは瓶の首にライムを入れて飲む風習を作り出しました。1ページの方程式通りですよ。

 ちなみにバイチェンなどの小麦から造った濁りの入ったのもレモンを入れさせていますが、これもキャンペーンのひとつ。瓶内に入っている酵母の臭いをマスキングするためです。私はキャンペーンという言葉を使いますが、賞賛する場合は文化となるのかな。物事は冷静な判断が必要です。日本酒は近ごろは冷酒ばかりで飲みますが、これも昭和後期のキャンペーンが成功したおかげでしょう。吟醸酒ブームをつくりました。今また逆に燗が忘れられています。そのためにも来月は燗の講座があるわけです。バレンタインデーも婚約指輪もキャンペーンがスタートですもんね。

 スパークリングワイン
 テキストには様々な泡の取得方法を書きました。ワインが中心となり、その中でもシャンパン方式が最上であります。シャンパン方式は瓶内二次醗酵させることにより、炭酸を得ます。炭酸を造った酵母は瓶底に沈澱します。これがありますときれいな泡が立たないために、この部分だけを除去します。シャンパン方式は最も手の掛かるやり方ですが、泡の芸術度は高いです。シャンパンの泡についての本も出ているくらいです。

 私は20代前半はワインの勉強をしていました。著名な先生を訪問したり、偉大な生産者が来日すると会いにいったものです。彼らからはいくつか強烈な印象を与えられました。

 例えば、生産者である蔵元やワイン担当のサービス業務であるソムリエよりも、流通に携わる者の方が情報が集まりやすく、知識に長けている。これはドイツワインの巨匠である古賀先生のお言葉です。目立つ立場よりも影の黒子の方が上ということなんでしょう。

 流通は生産者と飲食業を含む消費者の中間にいるため、そのどちらの立場も尊重しなくてはなりません。影で支えるわけです。ただ単にお酒を動かして、儲けているように見られがちですが、実はまったく違っているのです。目だつはメジャーに映るが、何ごとも派手ほど弱い。お酒以外にも通じることですね。

 いろんな先生から強烈な印象に残ることも教わりました。その1つ。教室でもお話しましたが、お気に入りのシャンパンを持つということです。フランスのシャンパーニュ地方ではたくさんのシャンパンメーカーがあります。洋服のブランドのようでもあります。お気に入りのシャンパンを持つことは、ワインに関する知識や経験があり、人間としての思想があるとみなされます。イギリスの社交界において、ワインに無知では相手にされません。だからスナッブ(講釈師が多く、通を気取る)がイギリスに一番多いのかもしれません。フランスに行けば、よく聞かれる質問なので、お気に入りのシャンパンを持つことをすすめられたものです。でも、正直シャンパンは高いですよ。フランス料理屋さんだったら、オーダーできないくらいです。お気に入りのシャンパン。忘れないで。

 日本酒
 日本酒の世界には「通」と称される人がいます。おせっかいな知ったかぶりの方。彼らは日本酒に炭酸が入ることについて、邪道と斬りました。作り手の中にも、炭酸が入ると、もともとの味が壊れる。そんなことをしたら、まともに造る気がしないとまでおっしゃる方もいました。ところが、吟醸酒ブームが去り、赤ワインブームに本格焼酎ブーム、さらには梅酒ブームが到来し、日本酒の消費量はがた落ち。これでは仕方ないと、日本酒に入る入り口としては認めるという方向になってきました。

 私は1995年くらいだったでしょうか。発泡日本酒の可能性を感じ、自分のアイデアを旭化成まで持ち込みました。研究室に数名集まってもらって自論を展開しました。私の案は緑色した発泡日本酒であります。色の添加はしません。京都のお米屋さんが特許を持ち、沖縄で栽培されている緑米。これを使えばできるのではないか。静大の研究室にもこの米があり、密かに実験を試みました。緑色は無理でした。

 その後2000年1月1日。別な発泡日本酒を造りました。21世紀祝酒「YOROSHIKU」を100本造って販売しました。720ml-\10,000です。今思えば高いですね。デザイナーにクレヨン調で書いてもらいました。中味は純米大吟醸がベースでありました。こういう風に書くばかりではなく、実物を持ってきたかった。そういう意思もあり、即席の発泡日本酒を造ろう思ったのであります。そのために瓶が暴発して、左手の親指を5針縫うという事態になってしまいました。みなさんの中には私のようなおバカさんはいないでしょうから、大丈夫でしょうが、無理して造るものではないですね。

 逆に、今ありがたく存在している炭酸飲料(酒も含む)もこのような努力により生まれることができている。指を見る度に、そのように思えます。

 YOROSHIKUの販売にあたり、静岡県酒造組合専務理事でおられた栗田覚一郎さんのご自宅にまでうかがい、過去の発泡日本酒についてお聞きしました。愛知だったか、広島だったか、サムライという共通の名で売られたことがあったなあというお話でした。邪道で売れなかったのでしょう。すいませんね。余分な私の話を書いてしまって。今回のテーマが発泡日本酒なので、どうしても思い出さずにはいられませんでした。

 日本酒の炭酸入りでメジャーになったのは、宮城の一の蔵のすず音。日本全国にチェーン店のある日本名門酒会を通じて発売しましたから、そのパワーにともない、認知されました。一の蔵は吟醸酒ブームをつくった先駆け的な取り組みが得意です。税金の対象となる級別審査に通さず吟醸酒を発売し始めました。吟醸酒ブームがはじまった頃は、吟醸酒は2級表示でした。1級より特級よりも美味しい2級がキャッチフレーズとして、吟醸酒は伸びていきました。無鑑査2級という名のお酒もありました。東北の雄、一の蔵がついに発泡日本酒に本腰を入れたかと業界の噂。すず音の成功を後追うように様々な発泡日本酒が登場してきました。現段階で代表的な発泡日本酒をお持ちしたわけです。

 代表的な発泡日本酒は皆瓶底に白いものが溜まっています。これは瓶内で二次醗酵させるための栄養分と活動の終わった酵母です。

「すず音」:強い甘さと炭酸のさわやかさ。
「ゆきくら」:高精白。大吟醸を使ったきれいさ。
「只今発酵中」:お客さんに面白さを与える。
「七田 おりがらみ」:上質なおりを入れてクリーミー。
「ひととき ロゼ」:ロゼカラーの不思議さ。

 みなさんのお好みのアンケートは次になりました。

 このことから言えるのは、普通のお酒に美味しいおりと炭酸が入っているのが好まれる。この点は一般的なワインとかビールとは違ってきています。

 おりは酵母が大量に含まれ、独特の匂いがします。酵母臭です。パンのような匂いです。一部(ミュスカデ)を除いては、嫌われる香りであります。

 しかし、日本酒の場合はおりには酵母以外に麹と米があり、これが入ることにより、フルーティーな香りが立ちコクが増えます。

 日本酒は他の国のお酒とは違って、独特の発泡日本酒の世界が創られつつあります。あくまで日本酒らしさを否定しないで、肯定した美味しいお酒ですよね。

 アンケートの結果は七田さん(製造者の本名)にも伝えます。よかったらゲストに来てねと。実際に市場では、七田のような製品が人気を博しています。

 そして興味深いのは、海岸線よりも山の中の蔵元に、この手のタイプをつくっていることかが多いということです。つまり、発泡日本酒は魚よりも肉にあいます。

 今回のおつまみも薬膳料理いわとさんにお願いしました。産婦人科の妊婦さんに提供している添加物なしのおつまみです。

 教室で述べた炭酸飲料のテイスティングのコツ、おぼえてますか?

 それは噛むことです。噛むと口の中が狭くなります。炭酸が圧力を受けて押し返してきます。この時の感触が酒質判断のひとつの目安であります。

 炭酸の入っていないお酒でも噛むことは有効ですから、やってみてください。ただしあんまりやりすぎると、変な人と思われますから、御注意を。

9月16日(火) 燗酒

 燗酒を勉強しながら御堪能いただきました。燗の字の右側は間ではありません。月なんですね。いかしてるねえ。小粋です。燗に限らず、日本酒は飲用温度を粋に変えて飲んでいたようです。

 さて、本題に入っていきましょうか。 燗酒

 お酒を温めて飲む。飲み比べることをしてもらいました。同じお酒でも、冷たいときと、温かいときと、熱いときでは、味わいが違ってきます。それを体験してもらうための講座でした。よろしいですね。

 6本のお酒をそれぞれ35゜・45゜・55゜に燗をつけて味わい、その印象をメモって、これら3つの温度帯の中では、どれが一番美味しいかをチェックしてもらいました。

 6本 × 3種類の温度 = 18通り

 なかなかの数です。家ではできません。飲食店でもできない・・・追い出されるかも。ゆえに講座らしいことでもあります。

 徳利はもらいもの。燗をつける鍋は自費!!

 講座が継続する予定で、以前買ったものです。

 2つの班に分かれて、それぞれ同じことをしてもらいました。

 教室での光景が、想い出として残っていればと思います。あの日、あの時、あの場所で。

 燗どうこ(鍋)にはお湯がはってあります。おでんを温めるには丁度良いことですから、お酒をつける前には、上のようにおでんを入れておきました。おでんと燗酒は好相性。屋台で飲みたいですね。いつかごいっしょしましょうか?

 おつまみはおでんと豆腐味噌と奈良漬けでした。

 とうふみそは熊本から取り寄せました。3年間冷蔵熟成させました。平家の落ち武者保存食と書かれています。まぐろを煮たような見かけです。(写真真ん中)

 奈良漬けは新潟の蔵元から、送ってもらいました。(写真左)これまた保存食です。

 静岡のように生魚が一年中捕れる所は保存食が発達していませんが、雪の降るところや、内陸部では、味の濃い保存食文化が根付いています。

 生ものは急いで新鮮な内に食べます。保存食は味が濃くて、急いで食べれません。ゆっくりと、ちょっとづつ食べる。お酒もそのように、ゆっくりとちょっとづつやる。この点が燗酒に通じているのではとチョイスしましたが、いかがでしたか?

 つまみはいつも頭を悩ませます。学苑からは、「ほんのちょっとしたものでいい。講座と飲食とは違うから」と依頼されています。

 確かにそうなんですが、お酒とお料理の相性は私の密かな得意分野でもあります。

 日本全国にいろんなお酒の教室があります。いろんな酒類に対していろんな先生と呼ばれる専門家がいます。私もほとんど存じていますが、私のきき酒指導と味覚については独特なものです。誰からも教わったものではなく、自分で研究した成果をいかします。その長所を発揮しなければ、受講者であるあなたにも申し訳がないです。したがって、教材費の許される範囲で試行錯誤しているのが現状であります。もしかしたら、中途半端なのかもしれませんね。つまみについては、そのように御理解していただければ幸いです。

 

 18通りの燗酒を味わい、どの温度帯が良かったのか。そして、18通りの中のベスト1とベスト2を選んでもらいました。下の表です。青い丸印がありますが、ここは点が入らなかったことです。0点です。

 黒い字で「正」を使った点数。例えば、秋田の雪において、35゜と45゜と55゜ではどれが一番良かったのかを表わしています。45゜に10ポイント入っています。

 秋田の雪は45゜が飲み頃。
 げんこつも45゜。
 富士の詩は35゜。
 高砂山廃純米あらばしりは55゜。
 小夜衣の詩は45゜。
 もみじは35゜と55゜が同点でした。

 また、赤い字で「正」の点数表記があります。これは今日の18通り全ての中でのNO.1を2ポイントとして、NO.2を1ポイントとして加算しました。総合評価であります。

 その結果、本日のNO1.はげんこつの45゜でした。
 NO.2は秋田の雪の45゜と高砂の45゜が同点。

 それにしても、お酒は嗜好品だけあって、点数がバラバラに散らばっています。富士の詩にだけ赤い正表記の点が入っていませんので、燗よりは冷やして飲むお酒と判断できるでありましょう。

 それからよくこう言われます。「上級酒は燗をつけるともったいない。」「いい酒は燗をするな。」

 実は今回の上のお酒は左から右に順に値段が高くなっています。満遍なく点数が入っていることから、上の言葉は必ずしもそうではないと言えましょう。さらに付け加えさせていただければ、出品数の少なかった大吟醸の鑑評会の最終審査は燗をつけて行なわれていました。

 二十歳頃、私はある卸売業者から、「いい酒は燗しても美味しいはずだ」と教わった経験があります。

 

 もう少しこの点について触れてみましょう。日本酒講座の受講者さんと富士宮の高砂に泊まりに行きました。朝一番から蔵人と共にし、酒造りを学ぶためでした。リクエストがあれば、そういうことにもお答えするかもしれません。

 その帰り道、どこかで一杯やっていこうということになり、蔵元で調達したお酒を隠してお好み屋さんで飲み、それに飽き足らずに、居酒屋さんに入りました。

 「お酒は何があるの〜?」

 冷蔵庫に菊源氏の生貯蔵酒の小瓶がありましたので、マスターに「ぬる燗につけて」とお願いしました。

 すると、私がオーダーしたその直後のことです。カウンターで飲んでいたお客さんの一人が「それは燗をつけるお酒ではないぞ。」「もったいないから、燗なら他のお酒を出してもらいな。」

 マスターも納得して、私達は何かわからぬお酒の燗酒を飲むこととなりました。

 我々は日本酒を学ぶ者です。酒徒であります。そこにいた生徒さんの中には、声を出して文句を言いたかった人もいるでしょう。お酒の飲用方法は「ラベルで決めるな!」。

 私にも強い自信はありました。なんたって、注文した菊源氏の生貯蔵酒の小瓶は実際に燗をつけて飲んだ経験があるからです。でも口答えするなと命令しました。

 最も重要なことは、正しいことは正しいと言いくるめることではありません。相手に押し付けるのではなく、相手から引き出す。

 この場合、もしかしたら、わけのわからぬお酒を燗をして提供したマスターが、何らかのフォローをするかもしれません。

 それが名文句だったら。・・・ 我々の感性は上がったはずです。

 たまたまその店のマスターはフォローがなかっただけでありますし、燗をしてはいけないと話しに割り込んできた人も悪い人ではないでしょうから。

 お酒の席で蘊蓄(うんちく)を語るのは、かっこいい場合もありますが、えてして知識を振りまいているのは、かっこいいことではありません。酒徒の飲食店での振る舞いは、単なる酒好きのそれとは違っていなくてはいけません。

 飲食店においては、こういうことも多いですから、じっと流される度胸と言いましょうか、余裕を持ちましょうね。

 道半ばである私ごときではありますことをお許し下さい。1本のお酒の前では、どんなお酒の大家であろうとも、一対一。そこには物質と物質が向かい合っているだけです。

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