SBS学苑パルシェ 日本酒の極め方

2008年4月〜9月 第4期開講     〜〜 受講生募集中 〜〜

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1期/2期/3期/

 ●SBS学苑パルシェ校 日本酒講座 「日本酒の極め方」第4期予定内容 2007/10〜2008/3

日時

講議タイトル

内容

4月23日

「しぼりたて」

フレッシュな新酒の特徴を感じます。

5月28日

「花酵母」

流行している花酵母の12タイプを味わう。

6月25日

「精米歩合」

お米の磨き方によって変わる香味を知る。

7月23日

「日本酒の甘辛」

日本酒度と酸度は甘辛の数値か?

8月27日

「発泡日本酒」

最近話題の炭酸が入った日本酒を味わいます。

9月24日

「燗酒」

このお酒、あなたならどのように燗をしますか?

7月23日(水)の内容

「日本酒の甘辛」

日本酒度と酸度は甘辛の数値か?

7月23日(水) 日本酒の甘辛

 暑い日が続きます。講座のはじまる18時30分はまだ昼間のように明るい。明るい時分からお酒を口にできる。そんな贅沢気分にもなりました。今回は「日本酒の辛さはどこからくるのか」がテーマでした。

 生酒
 本題に入る前に、生酒の特徴である2つのお酒をお飲みいただきました。

 1つは生老ね、もうひとつは火落ちでありました。

 生酒を低温貯蔵しておきますと、数カ月後からは、稲穂が枯れたような感じして、まったり感があるお酒になります。これを好きという方はとっても多く、確かに秋の味覚にはあいます。

 ただし、きき酒用語では生老ね(なまひね)と呼びますので、おぼえておきましょう。

 もう1つは火落ちです。生酒を常温に置いておきますと、お酒に潜んでいる雑菌が繁殖します。

 日本酒くらいのアルコール下の状態では、そんなに雑菌が生きていることもありませんが、お酒を好む菌もいます。常温下では、この菌が活動しやすく、繁殖します。

 透明なお酒がある時から急に白く濁りだします。一般的なにごりの成分は瓶底に沈澱しますが、この菌が働くと、瓶の中すべてが白く幕をはったようになります。蜘蛛の巣と表現する場合もあります。

 この状態を火落ち(ひおち)といい、原因の菌を火落ち菌と呼びます。乳酸菌の一種で、どこにでもいる菌であります。だから、香味には影響しますが、体の調子が悪くなるわけではありません。

 火落ちは劣化ではありますが、香味が変化して、最終的には樽に貯蔵した白ワイン風になり、これを好む方も多いです。教室にも数名いましたね。チーズにあいそうな気がしていますが、どうでしょう。

 お酒は嗜好品ですから、どのように飲まれてもいいのですが、原則的に生酒は低温保存で、開けたらなるべく早く飲み切ることが重要であります。

甘さと辛さ

 お酒の辛さはどこから来るのか? 何に由来しているのか? このことを探るために、10本のお酒を嗜んでもらいました。

 ABCDとイロハと123のグループに分けてのテイスティング。ABCDでの辛さの順などを、それぞれのお酒グループ内でつけてもらいました。

 甘さから辛さの基準を-10〜+15で示してもらいました。 ABCD、イロハ、123の辛さの順位が決まりました。

 お酒の下の青い数値は日本酒度と酸度です。参考に書いてみました。

 日本酒度は水とアルコール以外の物がどのくらい入っているかを計る指標です。入っているほどに、-(マイナス)に引っ張られます。

 酸度はペーハーとお考え下さい。どのくらい酸性であるかを示しています。

 つまり、日本酒度も酸度も、その数値が大きいほど、辛口傾向になるわけです。

 みなさんの順位が、日本酒度と酸度から導かれる辛さの順ならば、分析値と味わいとが一致しているということになります。しかし、一致していない場合は、何らかの他の原因があることになります。その原因を私の方で、それらのお酒の内容を吟味して、探ってみました。

 今回の講座からは、次のことが導き出されたと言えましょう。

辛さ(の方向)

甘さ(の方向)

火入れ

生酒

酸度高い

酸度低い

アルコール度高い

アルコール度低い

まろやかでない(精米-低い)

まろやか(精米-高い)

硬水

軟水

薄口

濃い口

フルーティー(甘い香り)でない

フルーティー(甘い香り)

 お酒の辛さは他の食物とは違った独特のもの。いや、日本古来の辛さであります。現代の一般的な辛さは、口中の痛点を刺激する痛みと熱さであります。唐辛子に代表されています。味覚であり、味覚でないとも言われる辛味であります。

 日本酒の辛口の定義は何か?これも議論すれば、もめることでしょう。ただし決定的に言えることとして、「甘くない」という表現がありましょう。

 つまり、現代は辛口を基本とした考え方に染まっていますが、古来は甘口を基本として考えられてきました。砂糖等の甘味栄養物質に乏しく、甘味に対しては飢えていました。したがって、麹由来の甘味の多いお酒が贅沢品でした。この時代は甘さを求めていましたから、辛口論議などはありませんでした。

 それが飽食の時代、スーパードライのヒットや、激辛ブームの昨今は、辛さの追求をするようになり、従来の甘さの基本から、辛さの基本へと変わりました。

 お酒は江戸時代に完成された三段仕込みをしています。甘い辛いも昔の基準であります。この製品に今の基準の辛さは何と求めても、満足できる答えは得られないでしょう。

 お酒はお酒の尺度を大事にする。柔道や大相撲の心にも通じるものがあるのではないでしょうか。

 漠然と辛口を表現するならば、すっきりしていて、後味に甘味が残らないお酒となるのではと思います。

 フルーティーが甘さと左上に書いてありますが、これはフルーティーが必ず甘口という意味ではありません。フルーティーさが甘さの方向に引っ張られるという意味であります。甘いフルーツの匂いを感じただけで、味わいも甘いのではと、想像します。お酒もそれと同じです。

 

 酒徒として

 お酒を学ぶ酒徒である我々は、普通の飲み手である一般消費者ではありません。例えば、蔵元やお店などにとってはお客さんでも、お酒を目の前にしたら、そのお酒に注意や敬意を払わなければなりません。

 杜氏達が造って販売されているお酒は普通の方々には完成品であっても、我々酒徒には未完成品であり、我々によって完成させなくてはなりません。

 製品としての酒質を見極め、それがどうしたらベストのお酒となるのか。いつ、だれと、どのように飲んだら、一番美味しいのかを考える。極めなければなりません。もう、すでに極め方のみなさんは、そのステージに上がっています。

 飲食店に行かれても、ぐだぐたと能書きをしゃべる、講釈をたれる酔っぱらいではない。聞かれたら、さりげなく、これこれだと思うよと、穏やかに相手を悟らせる。決して「日本酒講座に通っているから、勉強済、言うことを聞けよ。」とはならないですもんね。

 日本酒の楽しみ方の時代から、知っていることは最低のレベル段階であり、それよりもただたた好きとか楽しむことが上であると定義してきました。すいませんね。余分なことを。私自身がこのように書いていて、知識の強制をしているのではと、思ってしまったからであります。御容赦下さいね。

 今回は5品のおつまみを御用意しました。「生ハム」「アジの昆布〆」「サーモンサラダ」「カツオの角煮」「豆腐」

6月25日(水) 精米歩合

 精米歩合から酒質を探りました。講座らしい内容ではなかったでしょうか。商品に隠されたミッションも地域性もよくわかりました。ちょっと難しかったかもしれません。よくがんばりました。

精米歩合の復習です。

1.精米歩合40%の意味は?
2.どのような理由から精米する?

 その答えはここでは書かないことにします。お酒の本などにも書かれていることでしょう。一般論を書くよりは、みなさんと過したことからのオリジナリティーを書いた方がいいですもんね。

 3本づつ、3つのグループに分かれて、9本ありました。3本づつのお酒は皆、精米歩合が違っています。それは特定名称からもわかります。

 アルコール添加されたものは、本醸造、吟醸、大吟醸となり、アルコール添加されていない純米系は、純米(精米歩合75%)、(精米歩合65%)、純米吟醸となっています。

 ブラインドの状態で、そのお酒がどれかと考えることで、精米歩合の違いによる酒質がみえてくると考えました。

 9本もあると、コメントを考えるだけでも一仕事です。

 お酒のコメントの前に今回のおつまみについてです。テーマを大根にしました。理由はありませんが、お正月に新潟の農協の方々が静岡にみえ、大根の漬け物を販売していました。静岡では買えませんし、「そうだ!極め方の人たちに提供しよう」と即断しました。左から静岡の糠付け、新潟の柿漬け、新潟の酒粕漬け、秋田のいぶりがっこです。

 包丁で切ったら、思ったよりも大分多かったです。余ったら自分の夕食と晩酌で食べればいいなあと思ったところです。実際には翌々日の朝食までありました。大根もそうなんですが、漬け物はごはんにも合うし、お酒にもあいますね。重宝で旨い。日本の醗酵食品の良さであります。

 さて、肝心なお酒のコメントであります。今回も真剣に黙々ときき酒されました。極め方って感じでいいです。


香り:香り良し、アルコール臭、ハより弱い
味 :軽い、スッキリ、キレ良し、サラッとしている


香り:コクを思わせる、吟醸香、口中に広がる
味 :辛味が残る、コクあり、苦味あり


香り:香り高い、熟成香、アルコール臭強い、コクがありそぅ
味 :水っぽい、イとロの中間、とろみあり

 イロハは日本盛の特別本醸造か吟醸しぼりたてか大吟醸のどれかでした。

 吟醸香→吟醸系と想像できますから、ロは吟醸か大吟醸と想像できます。この2つの内で香りが高い方が大吟醸となるのが普通です。熟成香からハは吟醸系でないことがうかがえ、特別本醸造となります。

 精米歩合を考えましょう。精米歩合の数値が低い、原料米をよく磨いてあるお酒は香り高く、すっきりとした味わいになる傾向があると言えます。この長所を活かすように、フレッシュ感も大事にされています。3つのお酒から、日本盛は万人向けのお酒を作るミッションがあることもわかります。

 

2
香り:ほんのり良い香り
味 :苦味あり、甘味→辛味、後味が残る、薄辛い

12
香り:針葉樹、メロンのどの奥に香りが残る
味 :まろやか甘く濃い、キレが悪い、後味辛い

22
香り:ほんのりバナナ、鼻から抜ける
味 :苦味と辛味が残る、スッキリ、水のように淡い

 2、12、22は杉錦の特別本醸造、吟醸、大吟醸のいずれかでありました。メロンほんのりバナナから12と22は吟醸系とうかがえます。= 2は特別本醸造

 香りの高さと強さはどうでしょう?
 12がのどの奥に香りが残るとなっています。22はほんのりと表現されています。ここから12の方が香りが高いことが言えましょう。

 味わいからみても、12はまろやかと表現されています。メロンの香りとともに、このお酒は吟醸酒であって、上質のものとなり、上の香りの高さも加えて、12は大吟醸となり、22は吟醸となります。

 精米歩合を考えましょう。ここでも磨いてあるほど、香りが高くなりました。そして、同じ蔵元で同じように造った場合、精米歩合の高低差が味覚の美味しさ加減にも現れます。

 2は決して酒質は悪くはありませんが、12と22があまりに素敵なために、コメントは少々辛口になっています。これも精米歩合がなせることであります。

 

A
香り:フルーティー、砂糖のような甘そう
味 :酸っぱい、Bよりスッキリしてない、甘い、味かある

B
香り:フルーティー、吟醸、Aより香り高い
味 :酸味、辛味、Aより辛くさっぱり

C
香り:フルーティーでない、角が立つ
味 :酸っぱくない、優しいけれど雑味

 ABCは佐賀県の天山酒造の純米酒(精米歩合75%)と純米(精米歩合65%)と純米吟醸のいずれかでありました。純米酒はアルコール添加されず、すべての味わいついて、アルコール添加されたものと比べますと、濃縮感があります。

 純米酒特有の酸味。ここに着目しましょう。

Aは酸っぱい、BはAより酸っぱくはない、Cは酸っぱくないと表現されています。

 ここから想像することとして、原料の磨き方が、ABCの順でたくさん磨かれていると言えましょう。つまり、Aは純米酒(精米歩合75%)、Bは純米(精米歩合65%)、Cは純米吟醸です。これで答えは決まったかにみえます。

 香りをみてみましょう。
 BはAより香りが高い、しかもフルーティーであります。酸っぱい尺度からは反対になりますね。しかもCはフルーティーでない。

 香りから読み取れる精米歩合の順と、味わいから取れる精米歩合の順が、まったく逆であります。こういうお酒もあるのですね。これはメーカーさんに、してやられたって感じです。

 ここから言えることは、イロハと2.12.22の一般的なラインナップとABCのような稀なラインナップがあるということです。これには更に商品の価格もみる必要があります。ABCはAがBよりも高価なのです。精米歩合が低くても高価なのです。造り方が違うと想像できます。Aは何かのこだわりがあって生まれた商品なのでしょう。それを価格からも読み取れます。一般的には精米歩合順に価格は並んでいると言っても大丈夫でしょうけど。

 佐賀県の食事は甘く濃いらしいです。それにあうように、このラインナップは酸味がキーポイントでありました。

 今回は大根でしたが、サバの味噌煮などを食べながらやれば、コメントも違ってきたのかもしれません。ここまではどうしてもやりきれないですよ。

 日頃、1つだけを飲むのではなく、いくつかを比べながら飲むことも、よろしいかと思います。違いがわかる飲み手。しかもそれをくどくどと誰かに喋らない。格好いいですよ。

5月28日(水) 花酵母

 花薫る5月は花酵母のお酒。12種類もありました。よ〜くきき酒して、上手に分類わけも出来ました。お花とお酒は似ています。あなたを信じて生まれ咲いています。

 少人数制の極め方の場合は、お一人様12個のグラスを使うことができました。

 一流の講座みたいです。日本中探しても、これほど準備できる講座はないことでしょう。高額なケースは除くとして。

花酵母

 通常の酵母は協会何号とか、静岡酵母の何々とか、優良酵母が配付されます。

 パン酵母などは天然酵母を使うお店も多いです。御主人が野山を駆け回って、酵母を採取して固定化することもあります。

 花酵母もこの感覚に近いものがあります。自然の中に、まだ発見されていない優良酵母があるのではないかとの発想は誰でもしがち。

 酵母の住まいはある程度湿った落ち葉の裏側との説があります。どこにでもいそうでいないのが優良酵母。

 花に着目したわけです。果実には大量に酵母がついていますが、これはワイン向きだとの判断。納得もできそうです。 数々の花から酵母はいないかと、実験を重ねて、実用化できているのが、今回の花酵母たち。研究者によれば、桜酵母が一番苦労されたようです。

 今回は180mlの小瓶を選びました。種類の豊富さを目的としたからです。小瓶独特のリスクがあります。品質管理が難しいです。大きな入れ物から、詰め替える率が多いし、お酒に対して空気の割合も多いので、酸化の危険もふくらみます。

 製造元は以前ゲストにもおいでいただいた茨城の来福でした。来福は花酵母を積極的に使うリーダー格でもあります。熱心です。

 おつまみは富士宮のミルクランドで買ってきたチーズ類などです。

 こちらのテーマはわさびでした。

 みなさんには一つづつきき酒してもらい、コメントを書き、さらにグループ分けを目指した、タイプ分類をしてもらいました。

 グループ分けのテーマは何でもよかったのですが、結局は「味わいの中心は何?」となりましたね。

 みなさんのコメント、そのお酒の味わいの中心、そして好きなお酒にポイントを入れてもらいましたのでそれらを列記します。

1.桜の花酵母
 甘いけど辛味もありキレもよい。
 穏やかな甘味が酸味に勝っている。
 中心=甘味

2.牡丹の花酵母
 キレがよくない。
 甘味 → 酸味
 苦味辛味が足りなくて、甘味が強調される。
 中心=酸味

3.ベゴニアの花酵母
 苦味があり、キレがよい?
 甘味 < 酸味、苦味
 中心=苦味

4.なでしこの花酵母
 さっぱりしている。
 甘味あり。
 中心=甘味
 ポイント=3

5.コスモスの花酵母
 穏やかだが酸味が強い。
 中心=酸味
 ポイント=3

6.ひまわりの花酵母
 薄い。
 サッパリ系。
 どちらかと言えば酸味が一番感じられる。
 中心=酸味

7.日々草の花酵母
 濃い。
 マイルド。
 樽っぽい苦味。
 中心=苦味
 ポイント=2

8.しゃくなげの花酵母
 甘い。
 尾を引く。
 重い甘味。
 中心=甘味
 ポイント=5

9.つるばらの花酵母
 甘味 → 苦味 → 最後は辛味
 中心=中間
 ポイント=3

10.月下美人の花酵母
 飲みやすく甘い。
 穏やか。
 甘味、酸味、苦味が同時にくる。
 中心=中間
 ポイント=6

11.アベリアの花酵母
 甘味 < 酸味 + 辛味。
 さっぱりしているのか、重いのか?
 中心=酸味
 ポイント=3

12.おしろい花の花酵母
 甘味強く、キレよし。
 キレの良さが辛さに通じる。
 中心=酸味
 ポイント=5

 みなさんの好みは上記のポイントから次のようになりました。

1位 10.月下美人の花酵母
2位  8.しゃくなげの花酵母
同  12.おしろい花の花酵母

 おつまみが有る無しによって、味覚は変わります。評価も同時に変わったことでしょう。いつもの飲酒スタイルになると、身体が馴染むということ。お料理との相性を無意識にしていて、それを含んでの味覚の認識をしている。こういったことが現れたかと思います。

 12本あれば好き嫌いも当然あったことでしょう。同じ蔵元で、同じ原料米を使い、すべて精米歩合の同じ純米吟醸、アルコール度も均一。違いは酵母だけでした。

 こういったきき酒ができたことこそ何よりであります。講座としては素敵な経験ができたと私は自負しております。

 花酵母を使った製品は、清酒にしても焼酎にしても、これからぞくぞくと咲き乱れることでしょう。これらの花を温かいまなざしで支えていってください。お願いします。

4月23日(水) しぼりたて

きき酒

 日本酒の極め方でもきき酒は重視してまいります。これはお酒とあなたが1対1で静かに向き合えることが重要だと考えているからです。

 ただただ記号がついているお酒をどのように解釈しているのか、それをどのように文字として書けるのか、などを自覚してもらいたいです。

 石を触って石の気持になれるように、お酒をきき酒したら、そのお酒の気持になれたら素敵です。

 今回のきき酒は少々難しかったようですね。講座のウォーミングアップにもなれれば、私としてもやりがいが出てきます。

 次回も集中してきき酒して下さい。

しぼりたて

 文字通りにしぼったばかりのお酒であります。状態を名として意味しています。

 しぼったばかりのしぼりたてですから、何の処理もしていないと考えるのが普通です。

 処理とは加水や濾過や火入れであります。お酒は基本的には冬だけしか造りませんから、冬に造ったお酒を1年間通じて販売していくこととなります。

 しぼったばかりの状態の酒質は、時間が経つに連れて変化(悪化も含めて)していくために処理をします。

 お酒を悪化させるかもしれない物質を取り除くための濾過や火入れ。飲みやすいアルコール度にするための加水が主な処理・調整です。

イコール

 上の1〜8のお酒は下のどの銘柄でしょうか?

 というのが問題でありました。無謀と思うのが普通。出題されて唖然としたかもしれません。

 しかし、よくラベルに書いてあることを理解していきますと、これが不思議不思議。

 お酒の品質から推測することができるようになります。確かに実感されたと思います。

実証見聞1. にごり有り

 1.2.は瓶からもはっきりわかるくらいに、そして5.もグラスを見れば、濁があります。

 このことから1.2.は来福か忠正で5.は君盃。さらに来福は純米で忠正は本醸造。味がありアルコールが低い方が来福で、すっきりしてアルコールを強く感じる方が忠正となります。したがって、1.=来福 2.=忠正 と判明できました。

実証見聞2. 米の香り強し

 4.が米の香りが強いとみなさん同意。これから4.は純米系ではないかと推測しました。

 一方の瓶の表示からは天領の瀧純米酒と千福の純米大吟醸の2つが純米系とわかります。4.はこのどちらかでしょう。そして純米大吟醸はフルーティーさが米の香りを上回って感じられますから、4.のようにはっきりと米の香りがするのは天領の瀧となりました。

  ここで整理しますと、残っている番号は3.6.7.8.で、銘柄は開運、萩錦、千福大吟醸、千福純米大吟醸です。

実証見聞3. アルコール度

  開運=本醸造、アルコール19゜
  萩錦=本醸造、アルコール19゜
  千福大吟醸=アルコール17゜
  千福純米大吟醸=アルコール17゜

 この中でアルコールが強くなく、コクのあるのが7.ということで、7.は千福純米大吟醸となりました。

 残るは(3.6.8.)=(開運、萩錦、千福)。

 3.は香り高く大吟醸の要素があるので、千福大吟醸かなという意見もありました。しかし、大吟醸のような大物っぽさはないとの指摘も出てきました。ここで3は保留となりました。

 次に6.です。3.よりもフルーティーさに欠けるのですが、アルコール度が3.6.8.の中では一番低い。したがって、6.は千福大吟醸ではないかということになりました。残るは3.8.。

 8.はアルコール度が高くてすっきりしているとの意見が多かったです。

 残った3.と8.。3.はフルーティーで8.は辛口。銘柄としては、萩錦か開運。

 開運も萩錦も本醸造の生原酒であり、アルコール度も同じ19゜。

 ラベルからはこの2つをしぼるための情報は得られません。こうなると、造り手のイメージや飲酒経験からのイメージとなります。だから正直、きき酒からこの2つを断定することは不可能であります。

 では、イメージ的にはどうか。

 3.は8.よりも優しく繊細さがあり、どこか心細い面もあります。8.は力強く堂々とした雰囲気も感じられます。

 このようなことから3.は萩錦であり、8.は開運ではないのか。ということは成立したかと思います。

 素晴らしかったと思いますよ。みんなで知恵をしぼれば、ここまで出来ました。

 1名様は最後の迷った4本の3.6.7.8.を適格な表現で当てることが出来ました。お見事。

 つまみがない方がお酒の味はよくわかるのですが、コメントはつまみがあった方がよく出てきました。いつもはお酒とお料理で楽しみますから、体は良い方向に反応したのでしょう。

 結果です。

 1.=忠正      5.=君盃初しぼり
 2.=来福      6.=千福大吟醸
 3.=萩錦      7.=千福純米大吟醸
 4.=天領の瀧    8.=開運しぼりたて

しぼりたての特徴

 しぼってから消費されるまでの期間が短いことを前提にして造られています。旬なお酒です。今回の講座からわかったしぼりたての特徴を列記します。

・しぼりたての風味があるように、火入れや加水と濾過をしていない「原酒」で「生」が多い。一度火入れをしてある生貯蔵のしぼりたてもあります。

 しぼりたての風味のことをきき酒用語で「新酒ばな」と呼びます。これはフレッシュでフルーテイーさを感じさせる香りでありますが、吟醸香とは違う香りであります。

・特定名称を問わず「新酒ばな」があるため、例え大吟醸でも吟醸香がこれに隠れる場合もあるし、吟醸系でないお酒も香り高いものが多い。香りの高さは「新酒ばな」による。

・酒造好適米を使っていないものが多い。どんなお米からでも新酒らしい風味(新酒ばな)がするために、あえて酒造好適米を使う必要がない。

 これは早めの消費を意識しているもので、製造から夏を越して飲む場合は、新酒らしさもなく、バランスが崩れた風味になることが多い。

 逆に考えてみると、山田錦のような酒造好適米で造られたお酒は、しぼったばかりは大したことはないが、時間が経ち、その本来の実力を発揮するお酒もあるということです。

 いずれにしてもお酒が嗜好品という枠で捉えなければいけないですね。造り手からみても、飲み手からみてもです。

 普通の飲酒は、まず飲む前にそのお酒の履歴などがわかりますが、講座では履歴からお酒の銘柄を探りました。逆方向からながめたということになります。

 我ながら講座らしいかなあと思いましたが、いかがでしたか?


楽酒者如極酒者
極酒者如遊酒者
遊酒者如自由者

     日本酒ですばらしい人生を!

受講料 12,600円(6ヶ月分)
教材費 8,400円(5ヶ月分)
お問い合わせ・申し込みは、SBS学苑パルシェ校事務局
TEL 054-253-1221
 までどうぞ。
平日は夜8時まで(日)(祭日)も夜6時まで受け付けています。

 

 お申し込み

 場所はJR静岡駅ビル パルシェ 7F
  定員 24名
  講師 河原崎吉博 日本酒学講師、利き酒師、酒匠  日本酒サービス研究会認定
           ソムリエ・ワインアドバイザー  日本ソムリエ協会認定
           酒匠アドバイザー        日本調理師会認定
           世界きき酒師コンクール審査員

  お問い合わせ・申し込みは、SBS学苑パルシェ校事務局
               
 TEL 054-253-1221 までどうぞ。

 なお、私が担当しているJR静岡駅ビル内という絶好の立地のパルシェ校以外にも、浜松校静岡校沼津校があります。それぞれ日本酒と焼酎の講座がありますから、お近くの方は御覧になってみてはどうでしょう。SBS学苑全体のホームページはこちらです。

 ●SBS学苑パルシェ校 日本酒講座 「日本酒の極め方」第4期予定内容 2007/10〜2008/3

日時

講議内容

使用酒

4月23日

「しぼりたて」

フレッシュな新酒の特徴を感じます。

5月28日

「花酵母」

流行している花酵母の12タイプを味わう。

6月25日

「精米歩合」

お米の磨き方によって変わる香味を知る。

7月23日

「日本酒の甘辛」

日本酒度と酸度は甘辛の数値か?

8月27日

「発泡日本酒」

最近話題の炭酸が入った日本酒を味わいます。

9月24日

「燗酒」

このお酒、あなたならどのように燗をしますか?

 この他、SBS学苑パルシェ校には次のようなお酒の講座があります。
・日本酒講座「日本酒の楽しみ方
焼酎講座「焼酎紀行」
梅酒講座「新梅酒時代」
日本の食文化探訪
きき酒講座「きき酒名人への道」


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