全国きき酒選手権大会 第26回2006年-優勝への軌跡

全国きき酒選手権大会の静岡県予選

 2006年秋に開催される全国きき酒選手権大会の静岡県予選が2005年10月1日(土)の静岡県地酒祭りにてありました。静岡県からは2名が全国きき酒選手権大会に出場できます。会場は浜松グランドホテル。私が講師を勤めるSBS学苑パルシェ校の日本酒講座の面々も11名が参加。泊まり組みもでるほど気合いが入っていました。地酒祭りの直前に行なわれた全国きき酒選手権の静岡県予選においても、みんな真剣に利き酒していました。

 結果ですが、何と全問正解の優勝者を2名出すことができました。全問正解は6名いました。この数も異例中の異例。全国大会へは2名ですので、どうやって2名を選ぶのか。例年は全問正解が2,3名しかいませんから、SBS学苑パルシェ校旋風が吹き荒れたと言っても過言ではありません。

 SBS学苑パルシェ校の面々。23番テーブルで盛り上がりました。きき酒選手権で2名が全問正解の同点優勝。お米が抽選で当たった人が2名。Tシャツが当たった方も2名。9名のテーブルの内、6名がなにかしらに当たり、舞台に上がりました。我々の23番テーブルは会場で一番盛り上がっていたことは、司会者の話でも間違いありません。すばらしき想い出のある浜松の一日でした。


全問正解の優勝者達


表彰を受けるSBS学苑パルシェ校の日本酒講座の受講生


表彰を受けるSBS学苑パルシェ校の日本酒講座の受講生

 全国きき酒選手権大会への切符は2枚しかありません。

 さて、上の6名から2名をどうやって選ぶのか?

 まず、全国きき酒選手権大会へ出場する意志があるか?
 出場は翌年の秋のことで日も決まっていない、この状況では、普通は仕事のこともありますし、静岡県の代表で出ますとは言い切れません。ここら辺りが公務員の比率が多いひとつの理由です。

 6名の内、2名が遠慮して、残ったのは4名。主催者側の静岡県酒造組合としては、この日に代表者を決めておきたい。あみだくじかジャンケンか。全国きき酒選手権大会において、同場面が起こった場合は、男女だったら女性が、同性ならば年齢の低い方が優先されるとなっています。

 ここで異変が起きました。4名の内の1名がどうしてもきき酒で決着したい。ジャンケンやくじでは嫌だと申し出たのです。それならばと土井会長が承諾し、日をあらためて最終予選をすることになりました。

 最終予選は年が明けた2006年の3月、静岡県清酒鑑評会の一般公開と同日に行うと決定が下されたのは、それから間もなくのことでした。

 私は酒屋であり、お酒の先生もしています。プライドがあります。4名の内2名が全国きき酒選手権大会への切符を手にするわけですから、確率は1/2。2名の内、1名だけが通ることでは許されません。2名とも私の生徒でなければ、プロとしての私のプライドが許さないからです。つまり、全国きき酒選手権大会の切符は丸河屋酒店とSBS学苑パルシェ校絡みでなければならない気持ちがありました。

 静岡県清酒鑑評会の一般公開と同日に行なう。もしかしたら、使用するお酒は鑑評会出品酒の予備のお酒ではないか。これは大変なことだ。鑑評会出品酒は蔵の一番出来の良いお酒。それは大吟醸。となると、大吟醸同士のランキング(マッチング)。これはお酒ごとの差の判断がつきにくい。純米とか本醸造とかバラけていれば、それぞれの違いはわかりやすいが、同じ特定名称では難しい。しかも、使用されると予想されるお酒はすべてこれから搾られる新酒であって、特別な出品酒。

 新酒が手に入るのは・・・。静岡県清酒鑑評会の審査の直前である。すなわち、最終予選の2週間前くらい。お酒が揃ったとしても、最終予選に対して練習できるのは何回あるのか。

 私は途方に暮れそうになりました。取引先の蔵元さんに特別にお願いして、大吟醸の出品酒を手配しました。集まったのは10本くらいでした。けっこうな額に上りました。最終予選を行なう本人からは、「お金があまりないので」と言われていましたから、もらうわけにもいかず、他のSBS学苑パルシェ校の生徒さんにもカンパをお願いしました。

 練習は丸河屋酒店内で行ないました。週に何回くらい練習させたか。けっこう練習しました。

全国きき酒選手権大会の静岡県代表最終予選

 最終予選は午前10時に会場であるブケ東海フロントに集合。私はすべての人が揃う前に二人にはウォーミングアップを施しました。

 ついに4名が顔を揃えました。

 きき酒で決着をつけたいと申し出た彼は、全国きき酒選手権大会にこれまで連続3回出場中。2位、4位、3位と輝かしい成績を連続して取っています。

 今年こそ優勝の気持ちが強かったのでしょう。もう一人はお酒についての記事なのか、本なのかは忘れましたが、何か書いたことがある方。この二人に対して、私の生徒は勝てるのか。一抹の不安はありましたが、私のやり方に間違いないとの自信はありましたから、笑顔で試合会場の部屋まで同行しました。

 土井弥一さんを責任者として最終予選がスタート。6対6のランキング(マッチング)で時間は12分。ただっ広い部屋でしくしくときき酒の試合をするわけですから、重苦しい空気でありました。

 結果:全問正解が1名。続いて2位は3問正解。3位は4問正解。

 私の生徒は1位と2位になり、無事最終予選を通過できました。4問正解なのに、3問正解よりも順位が低いのは、間違えた差の二乗を減点とするからです。

 これで静岡県の代表者2名共私の生徒から出せたことになります。

 最終予選の打ち上げをしました。

 目出たし、目出たし。私のお役も御免であります。出費もしましたし、子供の面倒を見る時間も取られました。他のSBS学苑パルシェ校の生徒さん達からも、「おめでとう」「大変でした」「もうこれで、後は本人達に任せられますね」と言われ、肩の荷をおろそうかと思っていました。

 時は流れて8月のことでした。

 日本酒造組合中央会から全国きき酒選手権大会の要旨が彼らの手元に届いたのでしょう。私に連絡がありました。「全国大会に向けて指導をお願いしたいので、その打ち合わせにロイヤルホストに来てほしい」と。

 10月の全国きき酒選手権大会に向けて、丸河屋酒店内でまた練習が始まりました。2ヶ月ほど、毎週のように練習しました。

全国きき酒選手権大会当日

 表参道駅と青山通りの交差点付近にあります青山グランドホテルが会場でした。

 地下のサファイアルームへと向かいました。

 選手や付き添いの酒造組合の方、全国の蔵元さんらが集まっています。選手は20才から71才までの72名。

 司会の山内さんは、全国きき酒選手権大会の司会も何年もしていますから、慣れたもの。

 選手の気持ちも読み取るように、進行していきました。

 開会の挨拶の後で、筆記試験を行ないました。いよいよ競技開始であります。

 ホテルの1フロアーすべてを使ってありました。選手の部屋=筆記試験の部屋。きき酒競技の部屋。そして表彰式をする部屋です。

 私は応援ではなく、指導者としてここに来ています。

 私はきき酒競技の前に、生徒を表彰式の部屋に呼び座らせました。「あそこの表彰台のトップに立つのは自分ですよ。いまから有終の美をワクワク想像して、ひとつひとつやっていきましょう。」

 それからいつものようにウォーミングアップを施しました。

 ちなみに筆記試験は72名の内、15名が全問正解でした。

 きき酒競技の開始〜結果

 2名の内、1名が2度目のきき酒をするとの声がかかりました。

 2度目のきき酒競技です。

 10名ほどでやりました。

結果発表

 1名が個人の部で優勝。

 団体では5位となりました。

 私を囲んで記念写真も撮りました。

 会場で取材していたプロのカメラマンに撮ってもらいました。さすがに上手ですね。

 個人の部優勝者には、クリスタルトロフィー、表彰状、認定証、金メダル、日本酒30本、全国農業協同組合連合会様より全農賞として米券88キロ分が、団体の部優勝チームには、優勝杯、クリスタルトロフィー、表彰状、認定証、金メダル、日本酒30本、全国農業協同組合連合会様より全農賞として米券88キロ分が贈呈されました。

個人の部
優 勝 静岡県
準優勝 徳島県
第3位 鳥取県
第4位 山形県
第5位 岩手県
第6位 島根県
第7位 宮城県
第8位 石川県
第9位 山口県
第10位 大阪府

優 勝 島根県
準優勝 宮城県
第3位 長野県
第5位 静岡県

入賞者リストはこちらのサイトから公表されています。

静岡新聞にも優勝者の喜びの顔も報道されました。

全国きき酒選手権大会優勝の祝福

 人生で一番の喜びを向かえたようです。SBS学苑パルシェ校の生徒さんらからも祝福を受けました。あまりに多くの場面で祝福されたため、うれしい気持ちが鈍くなるくらいだったようです。右下のようにうれし泣く姿を幾度と見ました。

きき酒の達人として、さらに進化した達人として

 静岡県の最終予選の日にテレビ静岡の「きき酒の達人」として放送されました。丸河屋できき酒競技をしたのが放送されました。

 その後、全国きき酒選手権大会でも優勝したので、「更に進化した達人」のコーナーを作り、丸河屋できき酒競技の模様を録画しました。

 テレビ静岡の夕方のニュース内に達人のコーナーがあります。2回目の登場。さらに進化した達人として登場しました。

 私ではありませんよ。全国きき酒選手権大会で優勝した生徒です。

 静岡県予選が6対6のマッチング、全国きき酒選手権大会は7対7のマッチングでしたので、「きき酒の達人」の時には8対8のマッチングをしました。

 今回は「更に進化した達人」ということですから、難易度を上げて、9対9のマッチングにしました。

 「きき酒の達人」でもそうだったんですが、全問正解しなければ、この放送はなし。9対9を行なうには、リスクがありました。

 生徒も緊張のあまりに、吐き出したお酒が吐器に入れることができずに、床にこぼしてしまうこともしょっちゅうでした。照明が熱いことも影響していました。

 疲れもでて、風邪気味。しかし何とか時間をかけての全問正解までこぎつけました。


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