講師自己紹介、 わたしときき酒2.

 私ときき酒というコラム的自己紹介は過去にもしてきました。1つ目は全国きき酒選手権で、これは一番身近な日本一にだれでもなれますよ、その気になればねと。全体的な競技者の実力レベルと競技者数と過去の実績からそのように述べてきました。2006年はそのことが裏打ちされた、証明された年になりました。きき酒ならぬきき当ては成長曲線がわかるようになれば、しめたものですから御安心を。

 それからきき酒はお金がかかると書きました。ただ黙って目の前にはお酒は出てきません。お金と時間を惜しまずにひたすら接する。こういうことも時には必要なわけです。何を目指すかにもよります。

 さて、私自身も一人の酒徒であります。だれしもお酒の前では平等で1対1。私もこのことは正面から向き合わなければなりません。

 2007年の1月のSBS学苑の日本酒講座の後に飲みに行きました。4つのお酒を注文して飲みました。しぼってからすぐに瓶貯蔵されたのは1つで、あとの3つはタンクに入っていた時期がありました。サーマルタンクが代表的な冷蔵貯蔵タンクです。瓶貯蔵とタンク貯蔵の違いを思い出しました。これもきき酒の内です。

 次に新年会においてです。最初に出された純米大吟醸を私は山廃造りの純米大吟醸と判断しました。お酒のラベルにもどこにも山廃という文字はありません。いっしょにいた方の誰からも賛同は得られませんでした。聞いてもらえないのが正直なところ。

 これを造った本人(杜氏)は今はこの蔵にはいません。残されたもろみ管理帳を見てもその真相は定かではありません。そういうことはよくあります。蔵元にも問い合わせしましたが、このお酒は山廃でも速醸でもないと言われました。蔵元としては、世間の枠の中に自分のお酒は入れられたくないのでしょう。

 ではなぜ私が山廃と感じたのかは、酒母の比率が一般のそれよりも数パーセントほど多いのではないか。あるいは米が必要以上に吸水したためか、やわらかい米のために、もろみに溶け出したと判断する香味があったからです。山廃とか関係ないですが、甘さときれいさからは東北のお酒とわかりますし、米の溶け具合からは飯米とわかります。造った杜氏が移った先の蔵元に話したところ、この杜氏さんは純米での山廃造りは20年以上は経験があるとの話しでした。

 人は自分の経験値で物事を判断します。また、上の場合に、山廃という文字がラベルにあれば疑いはないことでしょう。

 ここなんですよ。きき酒も!!

 自分の経験値にまず合わせて、そうではない場合はどうなのか。

 私は純米大吟醸をあえて山廃で造る危険はおかさないという常識が経験値でしたが、まてよ?と勘ぐりました。答えが何かを求める場合もあるでしょうし、またそうでない場合もあります。

 私は上のように導くきき酒については誰からも教わってはいません。お酒と自分との対話がきき酒であるとすると、お酒に教わったことになります。一杯のお酒とのきき酒という接点(縁)であるがために、酒徒としての経験値をあげることになってきたと自負しています。

 きき酒能力を上げるのは、酒の道の美学を追求することに含まれます。

 美学を追求すると芸術にもつながります。お酒は芸術品ではなく、芸術的な農産加工品であります。芸術的から芸術にもっていくのは各々の価値観。

 難しい話に入ってきました。私はお酒の美については「味」と「風味」を基調としています。味と風味、では香りは? こう問われることでしょう。 このように聞かれますと、一から説明しなければならず、この欄には適しませんので御勘弁願います。

 お酒の美については、わたしときき酒3.でも書いてみます。

 現在私は究極のきき酒とは何か? の問題にもあたっています。

 きき酒は聞くものです。飲むことも聞くことになります。しかし、お酒を見ずに、香りを嗅がずに、口にせずにきき酒はできるのか。無謀でしょうか?

 私はひょんな体験からもしかしたらと思うようになりました。スキーに集団で行ったときのことです。二人乗りのリフトに腰掛けた時のことでした。女性と相席になりました。座った瞬間にこの娘さんとはうまがあう。うまくやっていけると判断。顔も見ていないし、口も聞いていない、シャンプーの香りもわからない、まったくわかりませんが、本能的にそう感じました。

 彼女もそう感じてくれたのでしょう。私を好きになってくれました。。私もこの時の本能を信じればよかったのですが、煩悩を信じ、彼女の友達と付き合うことになりました。その結末は如何に? きき酒についてですから省略です。しかし嫁さんと知り合う前の話ですから、内緒にしてしまっておいてくださいよ。

 つまり究極のきき酒とは、自分とお酒が向き合っただけで、何かを感じ取る。

 どこかの穴か洞くつにでも入って修行しなければならないのか。密教みたいです。

 取り留めもなくなりそうなので、ここまでとしましょうか。御参考になれば幸いです。


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