●NO8.「名古屋国税局酒類鑑評会」 2005年4月13日

 3/24の静岡県清酒鑑評会に続いて、4/13は名古屋国税局酒類鑑評会に行って参りました。主催者が国税局とあって、お硬い印象通りの鑑評会一般公開でした。会場内は背広を着た業界関係者でごったがえしていました。渦をも巻くくらいに利き酒の順番を待つ行列ができていしまた。

 私は地元静岡県の吟醸部門からスタート。続いて三重、愛知、岐阜と渡り、最期は一気に純米部門を利き酒しました。各蔵自慢の出品酒が約340点もありますから、その姿は想像しただけでも異様なまでのことでしょう。340点も利き酒するには、時間もかかり私は会場内の最期の一人となっても、利き酒をがんばり抜きました。呆れられて、ついには蛍の光まで流され、渋々と会場を後にしました。

 お酒は入賞したのは、黄色の札がお酒の首にぶる下げてあり、最高賞は赤いリボンがついていました。ひとつひとつ利き酒して、どうして入賞したのか、あるいはどうして選ばれなかったのか、なんかを考えていました。

 確かに入賞しているのは、香りに欠点が無いし、口に含んだ時に、お酒の方からの訴えを感じます。入賞酒の中で、これってほんとに入賞でいいの?と思ったのは4点。入賞していない中で、これは入賞にすべきだろうと思ったのが、約10点ありました。また、香りをかいで、口に含む必要がないなと思った、つまり対象外とも言えるのが、50点くらいあったでしょうか。これらはある意味かわいそうなお酒で、しぼった時期と審査された時期、そして公開されている今までの流れでしょうがないなと思えるものでした。

 つまり、できてから間もないので、若すぎるお酒特有の香りがするもの。生で出品したために、ここまでの貯蔵の関係で香味のバランスが崩れてしまったものの2通りが上に述べたかわいそうなお酒です。

 吟醸酒は冷やで利き酒し、純米酒は冷やと燗も利けました。冷やは蛇の目のグラスからの利き酒と、瓶から自分のグラスに注ぐ2つの方法があり、燗も入れると、ひとつのお酒で3つの利き酒ができました。気になるお酒は、後から確かめたりしましたから、結局私は何杯の利き酒をしたのでしょう。600回は越えています。吐き出しているものの、口の中にはアルコールが残りますから、酔いました。あくまで飲んだ時の酔いとは違っていて、酔っぱらう状態には至りませんが、足にはきましたね。口から味見しようとして、人にぶつかり、鼻から吸い込んでしまったときは、もう大変でしたよ。お酒の鼻うがいですからねえ。そんなに笑わないでください。切なかったですから。

 ここで、最高点がつけられ、赤いリボンがついた吟醸部門と純米部門の最優秀賞の首位2点を独断と偏見で斬りましょう。

 吟醸の首位賞は愛知県の「四天王」。おめでとうございます。まったくお見事までの秀作です。感服いたしました。数ある銘酒の中でも別格に違っていました。特に良いのは、含み香。立ち香も相当高いものでしたが、口の中に入ってからが別物でした。単調ではなく、複雑さがあります。メロディーがあり、奏でているというのが正確な表現ではないでしょうか。宝石だったらわかりやすかったでしょうね。大きさと光の輝きが遠くから、誰でもが認め、納得できたことでしょう。もし、ケチをつけるとしたら、ただ1点。甘いです。ちょっとだけキレがあったらいいなあって、正直思っています。もろみの終盤に酒度が-3あたりでアル添したような気がしてなりません。でもこれはこれで立派な銘酒です。昨年の忠正に続いて私の心から一生離れない1酒になりました。

 純米の首位賞は岐阜県の「女城主」。おめでとうございます。こちらもすぱらしい、すばらしすぎる銘酒です。アル添していない純米なので、吟醸部門よりも香りはおとなしく、味に幅があるのが一般的でしたが、このお酒は吟醸なのか、純米なのかは一瞬判断を狂わせるような香味がありました。香りはきれいに高く、味も伸びがあります。水とは違うのですが、水のようなきれいなお酒とはこのことなのでしょう。何よりも、すうッと口の中で伸びる味わいに高得点をマークです。他にも数点が香味だけなら匹敵するのもありましたが、この伸びが決定的な違いでしょう。こちらも、もしケチをつけるとしたら、ただ1点です。個性的ではない。出品も他のメーカーのお酒との具合で、どのお酒にすると決めると言うよりは、自信があるのを出すので、しかたないのですが、自己主張にやや欠けていたと思っています。すばらしいお酒ですが、一生記憶として残すことができるかどうか、私には自信がありません。

 蔵元の個性ではなく、この1本の個性がほしいのです。鑑評会とは普段とは違って特徴を見つけて愛する世界ではありません。お互いに比べられ、点数から順位を付けられる勝負の世界。競争あって、その結果として自分の現時点でのポジションを計れるわけです。

 鑑評会も素晴らしき日本酒の世界です。
 美味しさに国境はありません!
 いずれは世界が目をさますでしょう。

 とかなんとか偉そうですいません。勝負の鑑評会なのに、愛してしまった1本があります。愛知県の蔵元ですが、吟醸では入賞していないものの、純米では入賞していました。どうして愛したか、それは個性や特徴があるからです。ここまで素晴らしいお酒が集まると、多数は似たタイプになるのは仕方ないこと。

 でもですねえ、私のこの考え方に答えるべく、個性的な1酒がたたずんでおりました。他のお酒とはあきらかに違います。唯一このタイプの香味があるわけです。わが道をひたすら行くこのお酒に愛を注いでしまいました。はじめて見た銘柄ですので、どういう蔵かはよくわかりませんが、これから注目していこうと思っています。


コラム 丸河屋